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三原聡一郎

PEOPLEText: Satsuki Miyanishi

アーティスト活動を始めるようになったきっかけはなんだったのですか?

この世の中にわからないことや不思議なことがあまりにもいっぱいあって、それを自分なりの方法で捉えようとしてきたのが、今につながっているのかも知れないと思います。

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「moids ver.2.* – acoustic emergence structure」 © 丸尾隆一
斉田一樹らとのコラボレーション作品。1一つの音を組み合わせることで、1+1+1…+1=総和のイメージではなく、また別の一つの質感になることは可能か?そしてそのプロセスに僕らが存在している空間性や物質性をどのくらい介入させることができるのか?という問いを追求した。

三原さんにとっての生命科学・バイオテクノロジーとアートの境界領域であるバイオメディアアートの魅力、またその可能性について教えて下さい。

このジャンルで僕が最も面白いと感じているのは、生命とは何か?を問う技術自体がアートになり得るのか?と思っています。勿論、表現に携わるものとしての素材自体に対する興味もあります。それ自体が生きていて、かつ個人で扱えるようになってきた、現在最も社会性のある素材の一つだと思います。ただし新しいこと自体は有効な話題ですが、価値を保証する訳ではありません。ここが一番面白いと感じています。アートであるからこそ、この技術の持つ、正負の面やそれ以上に複雑な様相を提示できるのだと思います。生命倫理に関わる問題も含め、まだ十分な議論が為されていない段階で、一個人からメッセージを発信することができる可能性に興味を持ちます。もし有効な問いを引きだせるならば、それは未来の生きかたを方向づける美学につながると思います。

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「鈴」(空白のプロジェクト#2)
常に世界には一定の自然放射線が存在している。その知覚しえない存在が聞こえるならば、どんな音であるだろうとい考え始め、偶然、風鈴の起源が目に見えない邪気を払う為であることを知り、放射線感知回路と風鈴を結びつけた。ガラスで包むことで、風を遮ると同時に、それでも音が聞こえる(エネルギーは漏れる)現在の廃棄方法を示唆している。

作品制作の際に、重要視しているポイントがあれば教えてください。

ぼんやりと考える時間を取るようにしています。あとはなかなか難しいですが、一日一つ何でもよいから今までにしていないことを試したいと思っています。

国内と海外での作品に対する反応に違いはありますか?

僕は主にドイツ語圏とアジア数カ国での活動しかないのですが、アートの持つ役割や認識、そして個人が意見することに対する価値観はエリアごとに異なると思います。リアライゼーションとコンセプトの評価バランスも異なると思います。国外だと僕自身や表現に対して、日本人らしいとか日本人らしくないと言われることがあり、それは興味深く理由を尋ねてみます。

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