レッドブル・ミュージック・アカデミー・ウィークエンダー・トウキョウ

HAPPENINGText: logram

去る11月1日から11月4日までの4日間にわたり、「レッドブル・ミュージック・アカデミー・トウキョウ」が都内各所のロケーションで行われた。レッドブル・ミュージック・アカデミーとは、若く才能溢れるアーティストたちを支援する世界的な音楽学校として、1998年にスタートし、世界の主要都市でのフェスティバル、ワークショップ、レクチャー等を開催し、前衛的かつ創造意欲に溢れるクリエイターたちのプラットフォームとなる機関・団体として、世界中にネットワークを広げ、その存在を築いた。15周年を迎え、ロンドン、マドリッド、ストックホルム、東京の4都市で週末の数日間に及ぶ都市型音楽フェスティバルを開催した。

東京でのイベントのオープニングを飾ったのは、ドイツを代表する音楽家ヘンリック・シュワルツと、今回のライブのためだけに結成された27人のシークレット・オーケストラ。場所は、「築地本願寺」。本堂外壁にプロジェクションされた、イベントのメイングラフィックが怪しい雰囲気で招待客をお出迎えし、全体のイベントのオープニングとして相応しい、期待感を盛り上げる演出。「日本」「東京」「築地本願寺」という一見、THE日本文化的なロケーションの選定ながら、「築地本願寺」自体は日本にある他の仏教建築には見られない不思議なたたずまい。古代インド様式というのだそう。さすがRBMAの目利きである。

ヘンリック・シュワルツの名曲群を演奏するシークレット・オーケストラ。ダンスミュージックとして制作された楽曲をオーケストラバージョンに再構築する企画自体、試みとして、とてもチャレンジングであり、RBMAウィークエンダー・トウキョウのコンセプトが伝わってくるオープニングであった。しかし、4日間にわたる音楽の祭典はまだはじまったばかりなのだ。レッドブル1本飲むとしよう。

P-20131102-00112_HiRes%20JPEG%2024bit%20RGB.jpg
© Tadamasa Iguchi / Red Bull Content Pool

日本を代表するラジオDJ、落ち着いた物腰の柔らかインテリジェンスな雰囲気のピーター・バラカンのトークショーもある、「Beacon in The City @ www」。とりあえずレッドブルを2本。シミラブのOMSBとハイスペックのライブ。エレクトロニックなトラックに、OMSBのパワフルなラップにエフェクトを効果的に使っており、リリックも自己啓発や共感ではなく、野心的なもの。

イルリメのセッションでは、今自分の好きな曲を1曲1曲丁寧に解説。紹介する音楽に「この曲のギターが別名儀でやってるのがこれで…。」などの解説を加え繋がりありとても納得しやすく、かつイルリメのセンスをの良さがとてもよかった。このセッションでの個人的な音楽的出会いは、ローラ・マヴーラ – グリーンガーデン

鈴木勲 & DJ ケンセイのセッションでは、彼の選曲に鈴木勲が応える様に進み、鈴木勲の熟年の凄みのある雰囲気、80歳のベーシストがエレクトロニックミュージックとのセッションする探究心に心を動かされた。デイダラスは、常に溢れてくるインスピレーションを音に変えてグルーヴを作り、止まる事のないインスピレーションの引き出しの深さと、アーティストとして感性が表現されていた。アーティスト達の実験的で意欲的なステージが特徴の一晩だった。

PM_131103_RBMA_Weekender_Tokyo_0041.JPG
© Pere Masramon / Red Bull Content Pool

最先端のエレクトロニックミュージックのショーケースと題さ入れた「EMAF TOKYO」はLIQUIDROOMで2日間にわたり開催。ライブを中心としたプログラムの他に、ジャンルを超えたリスペクトを受ける両人、カールステン・ニコライ砂原良徳による、制作の裏側に迫るレクチャーなど、RBMAならではのアカデミックなプログラムも用意されていた。

SX2A9912.JPG
© Pere Masramon / Red Bull Content Pool

日本、世界の音楽家達の競演。Day1のトリはやはりカールステン・ニコライのバンド「ダイアモンド・バージョン」とオプトロン・プレイヤーの伊藤篤宏によるライブパフォーマンスが圧巻。もちろん、00年代の日本のエレクトロニカシーンの中心人物で、最近では写真家としても活動する青木孝允のライブもさすがの安定感。また、いまだシーンから根強い支持を受け、アニバサリー的リリースも精力的に続ける「μ-Ziq」のライブなど1日目から内容の濃いプログラム。

1.PM_131103_RBMA_Weekender_Tokyo_0012.JPG
© Pere Masramon / Red Bull Content Pool

ヤン富田、砂原良徳など、未だ変わらず一貫したスタイルで音源を発表し続ける日本電子音楽界の御大2人が登場したDay2。続けることの大切さ、変わらないスタイルの中で、新しい試みを追求する姿勢などこれから音楽家を目指す人達の一つの指針となる二人のライブは、いつでも刺激的だ。そんななかでも特に異彩をはなっていたのは、即興ヒップ・ホップ・ユニット「環ROY×蓮沼執太×U-zhaan」からなる「ラップ・シンセ・タブラ」の3ピースバンド。全曲即興演奏のスリリングさとどこに行くかわからない面白さ、会場の雰囲気によっても毎回異なるであろうパフォーマンスを見るのはまさにライブに来た人しか目撃できない特権を実感をもって味あわせてくれた。

PM_131104_RBMA_Weekender_Tokyo_0020.JPG
© Pere Masramon / Red Bull Content Pool

他、今回足を運べなかった、「カルチャー・フェアー」や「クラブ・ナイト」、「ダモ鈴木ネットワーク」など、さまざまな音楽的志向(思考)を刺激するイベントがあった「レッドブル・ミュージック・アカデミー・トウキョウ」。全体を通して、アーティストたちの実験的で意欲的なステージを中心に、電子音楽を中心としてジャンルを超えた、音楽の一大ショーケースとしての機能を「レッドブル・ミュージック・アカデミー・トウキョウ」から感じるとともに、アーティスト、音楽家の人選も単に「今」の音という観点からというより、アカデミーの名が示す通り、エデュケーショナルな部分がより強く、現在の音楽を俯瞰した視点でながめたとき、キーとなるアーティストをピックアップして、その体験から音楽的知見を観客が拡げやすくするきっかけとなる人選、イベントだったのは間違いない。日々世界中で起こる音楽的ハプニングはウェブを通してまたたく間に拡がりをみせるが、今回のイベントでの体験により、作り手も聞き手も個々人で音楽的座標を書き記したマップを作り上げる、確かなマイルストーンとなるだろう。

Red Bull Music Academy Weekender Tokyo
会期:2013年11月1日〜4日
会場:WWW、SuperDeluxe、BA-TSU ART GALLERY、Gallery COMMON、LIQUIDROOM、Time Out Cafe & Diner、SOUND MUSEUM VISION、築地本願寺
http://redbullmusicacademy.jp

Text: logram

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
MoMA STORE