レッドブル・ミュージック・アカデミー・ウィークエンダー・トウキョウ

HAPPENINGText: logram

ヤン富田、砂原良徳など、未だ変わらず一貫したスタイルで音源を発表し続ける日本電子音楽界の御大2人が登場した2日目。続けることの大切さ、変わらないスタイルの中で、新しい試みを追求する姿勢などこれから音楽家を目指す人達の一つの指針となる二人のライブは、いつでも刺激的だ。

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Red Bull Content Pool, Photo: © Pere Masramon

そんななかでも特に異彩をはなっていたのは、即興ヒップ・ホップ・ユニット「環ROY×蓮沼執太×U-zhaan」からなる「ラップ・シンセ・タブラ」の3ピースバンド。全曲即興演奏のスリリングさとどこに行くかわからない面白さ、会場の雰囲気によっても毎回異なるであろうパフォーマンスを見るのはまさにライブに来た人しか目撃できない特権を実感をもって味あわせてくれた。

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Red Bull Content Pool, Photo: © Pere Masramon

他、今回足を運べなかった、「カルチャー・フェアー」や「クラブ・ナイト」、「ダモ鈴木ネットワーク」など、様々な音楽的志向(思考)を刺激するイベントがあった「レッドブル・ミュージック・アカデミー・トウキョウ」。全体を通して、アーティストたちの実験的で意欲的なステージを中心に、電子音楽を中心としてジャンルを超えた、音楽の一大ショーケースとしての機能を「レッドブル・ミュージック・アカデミー・トウキョウ」から感じるとともに、アーティスト、音楽家の人選も単に「今」の音という観点からというより、アカデミーの名が示す通り、エデュケーショナルな部分がより強く、現在の音楽を俯瞰した視点でながめたとき、キーとなるアーティストをピックアップして、その体験から音楽的知見を観客が拡げやすくするきっかけとなる人選、イベントだったのは間違いない。

日々世界中で起こる音楽的ハプニングはウェブを通してまたたく間に拡がりをみせるが、今回のイベントでの体験により、作り手も聞き手も個々人で音楽的座標を書き記したマップを作り上げる、確かなマイルストーンとなるだろう。

Red Bull Music Academy Weekender Tokyo
会期:2013年11月1日(金)〜4日(月)
会場:WWW、SuperDeluxe、BA-TSU ART GALLERY、Gallery COMMON、LIQUIDROOM、Time Out Cafe & Diner、SOUND MUSEUM VISION、築地本願寺
https://redbullmusicacademy.jp

Text: logram

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