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新生クンスト・ヴェルケ現代美術館(KW)企画展「再始動」

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

同時にイベントスペースの誕生は今後KWが領域横断を目指すことを如実に示している。例えば、パフォーマンスのフェスティバルである「フォーリン・アフェアーズ」や、映画やビデオアートの展示機関「アーセナル」との共同企画。それ以外にも保健衛生博物館や、建築雑誌、サウンドアートを取り扱う団体とも話を進めているという。

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Kader Attia, REPAIR. 5 ACTS, Installation view, Act 4: Nature, MIMESIS AS CONTROL (Mimesis als Kontrolle), 3 vitrines, taxidermied animals, masks, objects, Courtesy of the artist, Galerie Nagel Draxler, Galleria Continua, Galerie Krinzinger, Photo: Uwe Walter

しかし挑発的な展示はもとより、姿を大きく変えたKWが大きな混乱を生み出したことも事実である。イベントや展示数が圧倒的に増えて全体像を掴みにくくさせている。そもそも多くのアーティストが住むベルリンでは毎日のように領域横断的なイベントが開催されている。そのためベルリンの街の特性を反映しようとも決して新しいものとは言えない。では新生KWは混乱を巻き起こしてまで何を目指そうとしているのだろうか。

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Kader Attia, REPAIR. 5 ACTS, Installation view, Act 3: Science, REPAIR ANALYSIS (Reparatur-Analyse), Reparierte Spiegel, Lithografien, Holzmaske / Repaired mirrors, lithographs, wooden mask, Dimensions variable, Courtesy of the artist, Galerie Nagel Draxler, Galleria Continua, Galerie Krinzinger, Photo: Uwe Walter

これに答えるのは現在「RELAUNCH」の枠組みで開催されているフランス人アーティスト、カデール・アティアの展示だろう。2012年に開かれた世界規模の展覧会「ドクメンタ」で注目を集めたアーティストは彫刻や様々な資料を展示している。「REPAIR. 5 ACTS(修復、全5幕)」という展覧会タイトルが表すように、至るところで「修復」を感じさせるものが並ぶ。展示室には傷つき歪んだ人物の顔を彫り出した木彫が所狭しと置かれ、戦争で傷ついた兵士の顔写真が壁を埋め尽くす。

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