瀬川葉子展「ファイル」

HAPPENINGText: Eri Yamauchi

日常にあったものが、「ファイリング」という一つの行為によって、非日常に生まれ変わる。小さな驚きと発見に満ちた展覧会だった。

瀬川葉子展「ファイル」

瀬川葉子展「FILE」がギャラリー門馬ANNEXにて開催中だ。展示のメインは、所せましと設置されているA4サイズのクリアファイル。ファイルには、日々の生活の中で埋もれ、捨てられていく雑多なものたちがファイリングされている。例えばビニール袋、毛糸、輪ゴム、クリップ、紙袋、果物ネット、ゴム手袋、コースター、梱包材等々、本当に取るに足らないものたちだ。

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だが不思議なことに、それらの素材が組み合わされ、ファイリングされ、光に当てられると全く違った表情が見えてくる。素材の色や繊維の美しさ、形の面白さ、連続によって生まれる躍動感、重ねることでできる陰影・・・。作家自身はそれを「日常から非日常への変化」と表現している。

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ギャラリー門馬ANNEXの特徴のひとつは、回廊のような細長い展示スペースと、片側一面の窓から射しこむ明るい光だ。窓にファイルを設置することで、その自然光を存分に利用していることも今回の展示の特徴と言える。他の展示スペースだったら、きっとこれらの作品の魅力は半減してしまうだろう。

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