スタディ・オー・ポータブル

PEOPLEText: Joanna Kawecki

スタディ・オー・ポータブルはロンドンを拠点とし、様々な分野に渡るデザインを手掛ける先進的なベルナデッタ・デデンスとムカイ・テツオの2人組によって2009年に立ち上げられた。彼らはアクセサリーの他にも小物、雑貨のデザインを行っており、その慎ましいディレクションは知的な作品に表れている。計り知れないリサーチがなされ、作品は包括的で、空間、宗教、歴史、そして道徳的なことを反映した美しい作品だ。彼らの作品は、普通とは違った特徴を持つ生活用品だといえる。実用的であるが、示唆に富んだ作品なのだ。例えばクウォーツから作られたオーガニックミラー「クウォーツ・ミラー」、「サンドグラス」は予測できない時間の流れを表現した、型にはまらない砂時計だ。

二人は、同じ思いを持った国内外の革新的な気鋭作家たちの定期的なグループ展のキュレーションとコーディネーションを担当している。これまで手掛けたプロジェクトは、デザインマイアミロンドン・デザイン・フェスティバル、そしてミラノのサロン・デ・モバイルなど。

スタディ・オー・ポータブル
© Virginie Litzler

故郷や生活、学業についての、お二人のバックグラウンドを教えて下さい。

オランダのアーネム・ヴィジュアルアーツ・アカデミー(ArtEz)で、ベルナデッタは立体、テツオはファッションデザインを学びました。スタディ・オー・ポータブルを立ち上げる前の2年間は、ベルナデッタはプロダクトデザインの修士のためにロイヤル・カレッジ・オブ・アートへ通い、テツオはファッション業界で働いていました。一人はオランダ、もう一人は日本出身のユニットです。

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© Study O Portable

仕事面でも、生活面でもお二人は素晴らしくクリエイティブなパートナーシップを持っていますね。どの様にスタディ・オー・ポータブルが始まったのですか?

生まれ故郷ではなく、どちらかと言えば伝統的な街でどの様に生活して仕事ができるかを考え、ロンドンに住むことを話していた時に思いつきました。始めたころは、ジュエリーやアクセサリーといった、持ち運びできるものに焦点を当てていました。持ち運びができる、もしくは移動ができるという考えを広げていくと、より広いスペースを使った、よりスケールが大きい作品になりました。アイディアやテーマから言えば、私たちは共通の関心とデザインに関して似た価値観を持っており、お互いの手法やスキルを補うことができます。

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© Study O Portable

なぜスタディ・オー・ポータブルという名前を選んだのですか?

物においても概念においても、持ち運びができるという考え方に関心があり、私たちはそれに沿って探求を続けてきました。好奇心が私たちの活動の一番の理由であり、「スタディ」という単語には、好奇心という概念と、アイディアを形にする(もちろんスタジオの意味も)という意味を含んでいます。

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© Study O Portable

石や色と言った自然の素材にとても精通されていて、また宗教や歴史などコンセプトに聡明なリサーチを取り込まれていますね。リサーチはあなた方のプロジェクトにとってどれくらい重要ですか?

リサーチをプロジェクトの一環として、本当に楽しんでいます!事実、フィクション、原料、対象物の間にある、新しい目に見えない関係性を、芸術と科学の文化に当てはめ確立しようとしています。行っているプロジェクトに直接関係はしないかもしれませんが、リサーチから後のプロジェクトや、今後の作品のアイディアが得られることもあります。

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© Study O Portable

最近新しく作品に取り入れている素材はありますか?

現在は、天然のダイヤモンドを使った作品に取り組んでいます。数ヶ月前、私たちは研磨と加工用に使われる工業用ダイヤモンドを扱っている会社を訪れました。ダイヤモンドは、予想もしない形や色で、とても強力な自然の美しさを見せてくれます。一般的に観賞目的のためにあまり使われていないというのが不思議です。

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© Study O Portable

文化的風景における、「イメージ・フォー・ア・タイトル:プラシーボ・エフェクト・イン・カルチャル・ランドスケープ」というタイトルで、最近ロンドンで行われた展覧会について教えて下さい。

この3年間、毎年9月のロンドン・デザイン・フェスティバルで、その時々に興味のあることについてのグループ展を運営しました。5人程にショーに出てもらうよう依頼し、私たちが設定したテーマに沿った作品を発表しました。「イメージ・フォー・ア・タイトル」はその2012年の展覧会で、このタイトルが示すように、文化的な風景の中の私たちが当たり前と思って使っている物や考えの中でのプラシーボ効果(思い込みが及ぼす影響)について表しています。作品はアーティスト、デザイナー、建築家、私たちのもを含めた5点で、アーティストや作家に協力をしてもらい、同封のパンフレットも作成しました。この展示はとても楽しく、私たちのような仕事をしたり、何か新しいものを学んでいる人と関わる機会となりました。他の人たちが同じテーマに対してどう反応するかを見るのは、いつもとても興味深いです。

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© Study O Portable

展覧会と関わりのあるRGBインスタレーションについても教えて下さい。

物に対する私たちの信念が、時にどの様に物理的な質に変わるのかに関心がありました。天然の材料から作り出された色には、二つの性質があります。環境や私たちの体に物理的に影響する自然物質であることと、生み出された色が儀式的な性質も持ち合わせていることです。例えば緑は、たとえ有毒な物質からその色が作り出されたとしても、穏やかな色をしています。
緑は多くの宗教において、気高く、神聖だと考えられ、絵画や装飾にある種の性質や意味を示すために用いられています。スクリーンやディスプレイを通して、大きくメディアからの情報によって保たれている現代の考え方にも、同様なものを見ることができます。
私たちは時に深刻に、テレビやコンピューターから情報を受け取り、それらを信じてしまいます。色は私達の目の前に、現実的で美しく描かれた教会や大聖堂の宗教画の様に、魅力的に現れます。RGBはガラスと自然の顔料で作られた、歴史、文化、宗教的な意味を持ったパーテーションです。色は、朱色、クジャク石、アジュライトでRGBの色を描いており、私たちが毎日目にする現代の宗教画のようなものとなっています。

Text: Joanna Kawecki
Translation: Aya Kitano

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