パノラマ:リーセント・アート・フロム・コンテンポラリー・アジア

HAPPENINGText: Rachel Alexis Xu

パノラマ:リーセント・アート・フロム・コンテンポラリー・アジア」は多くの面で大きな成功を収めた。アジア8ヶ国から24名のアーティストを取り上げたこの現代アートの展覧会は、かの高名なシンガポールアートミュージアムより導かれた偉功と言えよう。さらに重要なことに、このふさわしく名付けられた展覧会はアジアのアートシーンの目覚ましい展望を垣間見せるというビジョンに従って遂せられているのだ。

Panorama: Recent Art from Contemporary Asia

この展覧会において、アートはアーティストたちが真実性の意味を追求すること、つまり過去と現在のせめぎ合いや社会政治的な問題の迷宮をくぐり抜け、立ち向かおうとする共通手段として用いられている。

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これらの変化し続ける問題は実に様々な形で表現される。アグネス・アレラーノによる彫刻作品である「ハリヤ・ ベイシング」は、フィリピンのビコル地方に往古から伝わる許されぬ愛に堕ちた女神の神話を異なった視点で催眠的に解釈している。恍惚と苦悩の瞬間を内包することで彼女は半神半人をつくり出しており、無防備にフロアに横たわる。滑らかな白瑪瑙(めのう)で形づくられた同心円の海上に純白の彫刻が突出している姿は動きと官能的な永遠性を感じさせる。

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展示された他の作品にも同様に詩的なものがあるが、多くがコンテンポラリーカルチャー及びあらゆる事象への探求から生まれた哄笑と新たな見解を描いている。レスリー・デ・チャベスは揃いのフィリピンの民族衣装をまとい列になった像が揺れ動く作品を展示したが、これは彼の国家の政治に深く根付く縁故主義による社会の沈滞に対峙しているのだ。タン・マン・キットは、「ザ・ヒドゥン・ホワイト・エレファント」という日常的な物を用いた複雑な作品によって民族国家における厳しく入り組んだ検閲制度の影響を表現し、シンガポールにおける政治的な議論への問題提起の指標を掲げることに挑戦している。

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展覧会で時折現れるもう一つの面白いモチーフは、自己再帰性だ。アジアにおけるアートは、その限界を押し上げることと自身の定義を問い始めることの狭間を行き来している。この展覧会で、シンガポールの抽象的なアートの創作はそれ自身の中で終結するものとして丹念に仕上げられており、その本質はその形状の輪郭をとっている。こういった概念は残念ながらぞんざいに扱われがちだが、この先数年のあいだに勢いを増していく活発な議論の兆しを示している。

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アートを定義するにあたって、ただ単に伝記的な本質を投影することとの違いは何だろうか?アートとは現実性の上に成る世界の対する課題を示唆または投影したものであり、そして全く同じ世界観は二つと存在し得ない。アグス・スワゲによる「アイ・ウォント・トゥー・リブ・アナザー・サウザンド・イヤーズ」という作品では、過去の著名人たちが煙草をくわえ堂々たる姿でカメラを見つめている。この作品は不朽の名声とともに並べられた死には抗えない人間の運めという皮肉だけでなく、作品の人物たちが世界に対して注いでいた各々の視線といったものも突きつけている。

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パノラマの広がりを通して、線が走り、交わり、そして引き直す。アジアのアーティストたちは彼ら自身の道筋を明快に示し、時に自己に対する苦悩や未知の領域を探る。我々の生きる今を切実に訴えているのだ。

パノラマ:リーセント・アート・フロム・コンテンポラリー・アジア
会期:2012年9月14日〜12月12日
会場:Singapore Art Museum
住所:71 Bras Brasah Road, Singapore 189555
http://www.singaporeartmuseum.sg

Text: Rachel Alexis Xu
Translation: Ayami Ueda
Photos: Rachel Alexis Xu

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