NIKE 公式オンラインストア

「パノラマ:現代アジアのアートの新潮流」展

HAPPENINGText: Rachel Alexis Xu

パノラマ:現代アジアのアートの新潮流」展は多くの面で大きな成功を収めた。アジア8ヶ国から24名のアーティストを取り上げたこの現代アートの展覧会は、かの高名なシンガポールアートミュージアムより導かれた偉功と言えよう。さらに重要なことに、このふさわしく名付けられた展覧会はアジアのアートシーンの目覚ましい展望を垣間見せるというビジョンに従って遂せられているのだ。

Panorama: Recent Art from Contemporary Asia

この展覧会において、アートはアーティストたちが真実性の意味を追求すること、つまり過去と現在のせめぎ合いや社会政治的な問題の迷宮をくぐり抜け、立ち向かおうとする共通手段として用いられている。

P1017811.JPG

これらの変化し続ける問題は実に様々な形で表現される。アグネス・アレラーノによる彫刻作品である「ハリヤ・ ベイシング」は、フィリピンのビコル地方に往古から伝わる許されぬ愛に堕ちた女神の神話を異なった視点で催眠的に解釈している。恍惚と苦悩の瞬間を内包することで彼女は半神半人をつくり出しており、無防備にフロアに横たわる。滑らかな白瑪瑙(めのう)で形づくられた同心円の海上に純白の彫刻が突出している姿は動きと官能的な永遠性を感じさせる。

展示された他の作品にも同様に詩的なものがあるが、多くがコンテンポラリーカルチャー及びあらゆる事象への探求から生まれた哄笑と新たな見解を描いている。レスリー・デ・チャベスは揃いのフィリピンの民族衣装をまとい列になった像が揺れ動く作品を展示したが、これは彼の国家の政治に深く根付く縁故主義による社会の沈滞に対峙しているのだ。

P1017826.JPG

タン・マン・キットは、「ザ・ヒドゥン・ホワイト・エレファント」という日常的な物を用いた複雑な作品によって民族国家における厳しく入り組んだ検閲制度の影響を表現し、シンガポールにおける政治的な議論への問題提起の指標を掲げることに挑戦している。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE