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アンリ・サラ

PEOPLEText: Victor Moreno

ウォッカブランド「アブソルート」が、アートとマーケティングの境界線をなくす目的で年に1度行う「アブソルート・アート・アワード」。長く芸術分野に献身してきたアブソルートによる、今年で3度目となるこのアワードが盛大に開催された。今年の最優秀賞受賞者はアルバニア出身のビデオアーティスト、アンリ・サラ。光や音、音楽を言語として物語を表現するという能力の高さが世界的に注目を集めている。彼の関心は言語、構文、構造、音楽と戯れることにある。作品を見る観客が、自分自身を発見することのできる部分、それを掘り下げるのが好きなアンリ・サラにとって、展覧会はひとつの伝達手段である。アブソルートが世界中から様々なメディアのアートを選りすぐり招待するセレモニーは、とても魅力的でスペシャルな雰囲気。アブソルートは、80年代初頭からアートに対し強い情熱を持ち続けてきた。次の春には新しい美術館をオープンし、全てのコレクションを所蔵する予定。楽しみな年になりそうだ。

アンリ・サラ
Photo: Victor Moreno

アブソルート ・アワード受賞はあなたにとってどんな意味を持ちますか?

嬉しかったです。忙しく仕事をし、アートに挑戦し、他の様々な事柄とも格闘しているさなかに、不意に受賞の電話を受けたこと。そしてこの賞をとるために奮闘したり苦労したりしたわけではないのに、とても喜ばしい、素敵な知らせだったということ。 そのふたつの相乗効果でした。これまでにないほど賞金が高いことも私には重要なことでした。またこの賞はとてもよく準備されていて、表彰に私の大切な人たちを招いて一緒に祝ってくれました。私の仕事や人生で大切な知り合いたちのためにも場所を設けてくれたのです。これはとても優しい心遣いでした。

Intervista.jpgAnri Sala, Long Sorrow 1 (2005)
Anri Sala, Intervista (1998)

今までどこか企業のために、商業的な作品づくりをしたことがありますか?

いいえ、ありません。

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Anri Sala, Long Sorrow 2 (2005)

あなたは、作品に自分のルーツを生かすアーティストですか?

それはあなたと私が、ルーツとは何だと考えているかによります。私にとってルーツとは、単に地理的なことを指す言葉ではありません。生まれた場所に関わらず、その人の今、すぐそばの環境のことも指すのです。そして今まで行った場所、会った人々のことも。ルーツは決して終わらないものです。樹木はおそらくこれと同じで、新しいルーツを育み続けます。そして、ルーツは一生が始まるいちばん最初からずっと存在し続け、決してなくなることはありません。そういった意味でなら、私は自分のルーツを作品に生かすアーティストだと言えるでしょう。私の個性は私のルーツから生まれるからです。個性とはある意味、人生の延長として与えられるものです。誰かに会い、その人が大切な人になってゆく。何かを見て、それが重要な意味を持つようになる。そして、そうしたものが結局自分自身を作っているということに気づくのです。その意味で私にとってルーツは大切です。この質問に簡潔に答えることはできません。ルーツとは私にとって単に記号的な意味合いをもつ言葉ではないからです。

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