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ジャン・ホアン

PEOPLEText: Emma Chi

ジャン・ホアンの大型個展「孔子に問う」が2011年10月より上海のロックバンド・アート・ミュージアムで開催されている。彼のここ最近のシリーズ「アートと社会的課題の思考」についての作品が公開されている。この展示の計画に2年もの歳月が費やされた。ジャン・ホアンは中国で最も傑出したパフォーマンスアーティストの一人である。彼は1965年中国河南省安陽に生まれ、故郷の河南にて油絵を学んだ。90年代の人々を動揺させるパフォーマンスで数々の悪評を招き、政府からは注意を向けられることとなった。

ジャン・ホアン

ジャン・ホアンの個展「孔子に問う」の基本となったコンセプトは、長い間彼が考えてきた一連の問題に由来している。「経済や社会が劇的に変化していく中で、エネルギー資源や自然環境が提起したものに直面したとき、我々はいかに持続可能な発展を実現するのか」「発展に伴い中国の世界における地位が重要なものになっていく中、我々が“負うべき責任”と“負える責任”とは一体何なのか」「同時に現代中国人の精神は、一体何に帰属するのか」という問題について、ジャン・ホアンは大型彫刻・油絵・香灰画(お香の灰を使い制作した絵画)・インスタレーション作品を通し、これらのテーマが内在する構造や彼自身の観察と思考の模索をしている。

今回の個展のテーマはなぜ「孔子に問う」となったのですか?一体孔子にどのような問題を問いたいのですか?

今回の個展は私が国内で行ってきた中で最も規模の大きいものになりました。全ての作品はロックバンド・アート・ミュージアムの為だけに制作しました。これを計画するのに2年もかかりました。テーマである「孔子に問う」が提起しているのは、現代中国人の信仰の喪失と断絶です。ハイスピードで進む変革の中、人々は現実を支えるのに有効な信仰を見つけ出すことができずにいます。全般的に西洋化していくのか、もしくは伝統に回帰していくのか、それとも新しい精神的信仰を探し求めていくのか。中国が世界において重要な地位を占めるようになるにつれ、負うべき責任も重くなってきています。新しい国際政治・経済・文化的秩序を如何に築いていくのか、如何にエネルギー資源や気候の新たな問題に対峙していくのか、如何に世界を協調させ持続可能な発展をしていくのか、如何に結果を顧みない貪欲な略奪を続ける人類を律するのか。私たちが地球に大きな代償を払わなければいけなくなるとき、それはつまり人類に終わりの日が訪れるときなのです。「孔子に問う」プロジェクトでは重要な現実と未来の意義を表しています。私が望んでいるのは、観客がこの展示を鑑賞する過程で一緒に問い、共に考えてくれることなのです。

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本個展のロゴのデザインはとても面白いですね。大きな“問”という文字があり、“問”の“口”の中に“孔子”という文字が書かれています。

このロゴはチェン・ヨウジエン・スタジオ(陳幼竪工作室)がデザインしたものです。「“ふきだし”がイメージの基礎としています。現代の中国人の信仰に対する疑問や思索・討議・交流・討論を、展示作品を通じて啓発するという目的でふきだしの形が“Q”になっています。展示の英名(Q Confucius)にも呼応していると同時に、孔子の頭部と髭のシルエットを連想させます。「问孔子」(「孔子に問う」の中国語)の3つの字が1文字ずつ内に入っていく形で配置されています。それは人類が知識に対する信仰を一層ずつ深く掘り下げ、とことん追求し、核心・心理・精神に迫っていく過程です。」というのが彼らのこのロゴに対する解説です。彼らはデザインを始める前にすでに私のこの展示に対する思いやその理念をしっかりと理解していました。このロゴは単純明快ですが、展示のテーマにぴったりだと私は思っています。

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