コリー・アーカンジェル「プロ・ツール」展

HAPPENINGText: Aya Karpinska

ファインアート展はたいてい、観る人にとって膨大な美術史の知識がなければ本当に楽しむことができないものであるが、ホイットニー・アメリカンアート美術館で開かれたコリー・アーカンジェルの個展は、観客にテレビゲームやYouTube、そしてショッピングの知識についてを教えてくれる。

アーカンジェルは、そもそもハッキングの技術によって注目を浴びた人物である。例えば、彼はニンテンドーのスーパーマリオ・ブラザーズの画面から、雲を残して他のすべての絵を取り除いてしまった
実際その画面は、今回の展覧会場の入り口に配置されており、その先には、6つのバージョンによって構成されているボーリング・ゲームの作品がある。会場には不協和音が広がる。それぞれのゲームがハッキングされており、プレイヤーはストライクボールを投げるだけ。しかしピンは倒れない。プレイヤーは永遠に勝つことができなくなっている。

Cory Arcangel: Pro Tools
Various Self Playing Bowling Games (aka Beat the Champ), 2011

お気に入りは別の騒がしい作品で、パガニーニ作曲の奇想曲第5番をヘビメタ調で演奏している様々なYouTubeの映像を
モンタージュにして展示されているものだ。なんて陽気なのだろう!
YouTubeの映像で解像度は決して高くないにも関わらず、暗い部屋の壁に10フィート×18フィート(3m×5.5m)の
大きさで映像が投影されている。
ボーリング・ゲーム作品と同じようにアーカンジェルが開発した「Gould Pro」というソフトによってつくられおり、退屈させる間もなくものすごい速さで、何百もの映像がミックスされて自動再生されている。

Paganini5thCaprice
Paganini Caprice No.5, 2011

次に、荒々しい音を聴いた耳を休ませてくれるのは、フォトショップグラデーションデモンストレーションの穏やかなシリーズだ。フォトショップでデフォルト設定されているグラデーション効果を使い、大きく色素源をプリントした作品である。

それぞれの作品のタイトルには、その作品がどうやってつくられているかの説明が含まれている。例えば、下の写真の中央の作品は、フォトショップCS 84×66インチ、300DPI、RGB指定、square pixels、デフォルトのグラデーション効果:スペクトラム、マウスドラッグy=25100, x=0 からy=0, x=19750 まで、といった具合である。
私たちは誰でもこの写真にあるアーケンジェルと全く同じプリント作品を家でつくり、壁に飾ることができてしまうのだ。

gradients.JPG

グラデーションやYouTubeのミックスといった作品でアーティストが言おうとしていることは一体何だろうか?私たち皆がクリエイターということ?それとも作品はありふてれいるということ?

ぜひミュージアムに隣接する新しいレストランで、ワイングラス片手に考えてみてほしい。「無題」という名のレストランは、ダニー・メイヤーの世界だ。アメリカン・スタンダードながら、よりおいしく地元産の新鮮な食材を使って朝食メニューやスープ、サラダ、サンドウィッチなどを提供している。週末の夜にはよりエレガントな3皿のコースメニュー(46USドル)も用意されているのでぜひ。

Cory Arcangel: Pro Tools
会期:2011年5月26日〜9月11日
会場:Whitney Musuem of American Art
開館時間:11:00〜18:00(金曜日13:00〜21:00)
休館日:月曜・火曜日
住所:945 Madison Avenue at 75th Street, New York, NY 10021
TEL: (212) 570-3600
http://www.whitney.org

Text: Aya Karpinska
Translation: Eiko Kondo
Photos: Aya Karpinska

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