東北の底力、心と光。「衣」、三宅一生。

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

東北地方の文化や手仕事の魅力について紹介する特別企画「東北の底力、心と光。 「衣」、三宅一生。」が、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで7月26日から31日までの6日間開催された。

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かつて柳宗悦が、「日本でのみ見られるものが豊(ゆたか)に残っている、手仕事の国」とも記した東北地方。東北には、ものづくりの知恵や歴史に裏付けされ、磨かれてきた、伝統的な手工芸の技が今も残る。

展示は主に2部構成。東北地方の織物技術を、道具や制作プロセス、日用品を見せながら紹介、それに加えて、東北地方の伝統文化や技術からインスピレーションを受けたデザインや、東北の工場と協業して作られたISSEY MIYAKEのコレクションも展示された。

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たとえば、宮城県白石市の白石和紙工房が作る、紙衣という和紙を使った衣服がある。東北は平安時代から公用紙や公家の懐紙などに採用されてきた「みちのく紙」が有名で、和紙技術の伝統が息づく地域。和紙を縦に細かく裁断してよりをかけ、細い糸にして織る「紙布織」は丈夫で撥水性の高い織物として珍重されてきた。白石和紙工房は、江戸時代より、紙衣の高い技術を持ち、現在は東大寺二月堂修二会(いわゆるお水取り)で着用される紙衣も作っている。今回は、その紙衣を含む、一級品の紙布織を見ることができた。

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また、東北の貧しい農家の知恵として生み出された裂織も展示。寒冷で綿が取れないため、古い布の端切れを裂いたものを使いながら、布を織っていく技法であり、青森県十和田市の南部裂織保存会の協力の元、裂織の作品が集められた。

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