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西本英理子(THE LICO)

PEOPLEText: Julie Morikawa

現在東京とパリを中心に、映画・映像やファッションショーなどに音楽提供する活動を行っている作曲家、西本英理子。2011年3月に、the lico名義で自身のレーベルより「DARK/LIGHT」というファースト・ソロ・アルバムをリリース。映像をイメージさせるような物語性を感じさせる作品となっている。彼女の音楽に関する考え方や今回のアルバム「DARK/LIGHT」についてお話を伺った。

the lico / 西本英理子
写真:須田俊哉

まずはじめに自己紹介をお願いします。

映画や映像、ファッションショーなどに音楽提供する活動を行っていますが、特に映画音楽を中心にしています。ヴィム・ヴェンダースやジュリアン・シュナーベル、今村昌平、小津安二郎といった監督作品の映画が好きです。現在は私の音楽を気に入ってくれる監督を探しているところです。2012年の公開に向けて、“音楽と映画”の融合を目指したコラボレーション作品を制作中。


「before birth」the lico x 林知亜季(Engawa Films Project)

ファーストアルバム「DARK/LIGHT」ですが、どのような経緯でこのタイトルにしたのでしょうか?

文字通り「光」と「影」です。私の中の。普段は「影」の中で生きる事を自分自身に強いられているような気がしていますが、でもその中でも「光」に対する憧れはとても強く感じる。とてもそれは矛盾している事なのですが…。「影」にいるという事は自分自身が無意識に選んだのですから。しかし、私の中にも「光」のようなものに通じる要素があるのではないかと。それを音楽に反映したかった。というところから、タイトルを「DARK/LIGHT」にしました。

アルバムの制作においてのエピソードなどがあれば教えてください。

誰かのためや何かのために音楽を作った事は一度もありません。音楽を作るという行為は、私にとっては気持ち悪くなって食べ物を吐き出すのと同じ事です。(これは、ネガティブな事ではありません。)
自分自身が身を置く事のできる、一番居心地のよいところに場所を探していました。そうしてできたのが、今回の「DARK/LIGHT」です。

音楽というメディアを自己表現の場として選んだ理由は何でしょうか?

今の私には答えの見つける事のできない質問です。3歳の時から音楽に関わっていますが、音楽と触れ合っているとき以外は、かなり怠惰です。きっとかなりの変わり者なのでしょうか…。なので、選んだというより、そこにあったという表現がふさわしいかと思います。親を選べないのと同じです。

映画・映像やファッションショー等に音楽提供するという活動について教えて下さい。

私の音楽は、映像や映画なりの視覚媒体と共存しないと成り立たないと思います。と言うよりそのように音楽を作っています。こんな事を言うと語弊が生じるかもしれませんが、音楽で何かを伝えたいと思っていないので、映像等のメディアと交わって始めて一つの作品になると思います。

音楽を通して政治的な事を物申す!や、地球環境を守るために音楽で何かを伝えたいなんて事は全くもって思いません。

人からの受け売りですが、ものを作る行為は、自然を守るなんて事とは真逆な事だと思います。爆発や破壊から地球が産まれたように、壊す事から始めないと何も産まれない。と思います。

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