シュエ・ソン

PEOPLEText: Emma Chi, Li Ailin

シュエ・ソン(薛松)は、その“焼き紙コラージュ”作品で名の知られているアーティストである。その名の通り、焼いた紙片を使ってコラージュするのだが、そこには古典的なイメージや記号が、印刷物の破片という形を使って現れている。シュエ・ソンは上海演劇学院舞台美術科を1988年に卒業し、現在も上海で生活を送っている。最近ではシャンハートギャラリーでのグループ展「一個接一個」(“一つずつ”という意味)に参加しており、幸運にも私たちはそこで彼にインタビューすることができた。

薛松

今回はどのような作品でこのグループ展に参加しているのですか?

今回は立体作品で参加しています。以前は全て平面の作品でしたが、それを突き破りたいという気持ちがあり、二次元から三次元へと進みました。また、建物が取り壊される時に残る建築廃材にとても興味があります。なぜなら廃材そのものに多くの時間を過ごしてきた記憶が宿っていて、そこにはストーリーがあると思ったので、そのような建築廃材を使って創作しようと考えました。

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あなたはその創作生活の中で2度の火災に見舞われましたね。90年の大火事はあなたがミクストメディアによる創作を始めるきっかけとなり、そこから唯一無二の絵画スタイルが生まれました。また、91年の火災ではアトリエを始め心血注いで制作した油絵、書道作品等が焼けてしまいました。この2度の火災に対してあなたがどのような感情を抱いているのかとても気になります。

90年の火災以前はずっと苦悩の時間でした。水墨画や油絵などとも違った新しい絵画言語を探し求めていましたが、ずっと見つかりませんでした。最初の火事は、家の隣の小劇場が火事になり、その火が自分の家にも燃え広がったものでした。そこで私は急にひらめき、普通の作品では到達できない絵画言語、ミクストメディアによる創作方法を見つけたのです。その後、この新しい作画方法を試していたところ、2度目の火事に見舞われました。91年の火事は、私がアトリエで作業中に自分の不注意によって起こりました。作品が焼けてしまった上に、私自身も拘留されてしまいました。当時は仕事がクビにならないかとても心配でした。その頃は仕事をクビになるというのは、とても厳しく深刻なことだったからです。しかし、幸運にも特に何の罰もありませんでした。

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《マオ》ミクストメディア,100 × 80 cm,2000

ミクストメディアによる制作は具体的にはどのように行うのですか?

当初は、火災現場に行って焼けたものを拾っていました。現在では、絵のテーマに沿って新聞紙、雑誌、燃え殻等を自分で焼いて作ります。私の貯蔵室では、古本を麻袋に入れて置いてありますが、すべて素材を作るために集めたものです。友達が定期的に送ってくれたものや、自分で古本市場に行って荷車を引いて持って帰ってきたものもあります。実際ミクストメディアでの制作は、技術上特に難しいことはなく、素材そのものが絵画性にまで影響することはありません。

あなたは以前素材に語らせると言っていましたが、素材は何か語ることができるのでしょうか?

例えば、新聞、新聞の文字、写真等は話すことができると思います。私は、創作テーマに沿って、それに合った印刷物の内容を探しながら制作し、彼らに話をさせるのです。

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《灰の書道》ミクストメディア, 60 x 60 cm,2008

ある人はこのようにあなたを評しています。『シュエ・ソンは、ずる賢い悪戯の様な方法を用い、自分のアートという映画のリハーサルをしているようだ。』このような意見にあなたは同意しますか?

そのような一面もあるとは思います。私が画家を仕事として選んだのは、とても自由であるという理由からです。アトリエでは描きたいと思うものをそのまま描きます。ある事象に対し、悪戯のようにからかったり、風刺することもできます。しかし、現実世界ではそうもいきません。

欧米などでも多くの個展を開いてますが、外国人はあなたの作品を理解できるのでしょうか?

中国人と比べて、外国人は、よりミクストメディアでの創作を受け入れられると思います、なぜなら、彼らは言語の独創性をとても重んじているからです。90年代中期、中国でミクストメディアの絵画展を行なおうとしても、非常に困難なものでした。絵画展は明確に分類されており、中国画は中国画として、油絵なら油絵として出展しなければなりませんでした。ミクストメディアの作品は、どの種類に属するのか決めれませんでした。しかし、現在ではこのような境界線も段々崩されてきています。

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《抽象書道》ミクストメディア,120 x 120 cm,2006

あなたの作品を鑑賞する人達は、どのような理解の仕方をするのでしょうか?面白いと思った評価、評論はありますか?

多くの人は「絵をこんな風に作ってもいいの?」というように珍しく感じているようです。このような作画方法を見つけ出すとは頭がいい、と言ってくれるアーティストもいます。評論家は、私の作品が主流文化の境界線近くに属すると捉えています。

作画以外にも、世界的に有名なブランドのデザインにも関わっていますね。例えばフェラガモの手袋やレザージャケット、Tシャツなども手掛けていますが、中には商業化されたものに対して敏感に反応するアーティストもいます。あなたはどのように考えていますか?

私個人としては、商業性を排斥しなければいけないとは思っていません。ただ、自分の創作の自由を妨げさえしなければ、受け入れられるものです。フェラガモに関しても、お互いの理念に通じるものがありました。それは伝統的文化や歴史に対する関心です。これらは、ここ数年私自身非常に関心を寄せていた分野だったので、彼らとのコラボレーション要請にすぐ答えました。

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《キャパとの対話》ミクストメディア,130 x 150 cm,2000

自分の立ち位置をどう考えてますか?

常に時代に合わせて変化しています。昔は理想主義的なものに注目していましたが、今は伝統文化への回帰に関心があります。

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《枯木逢春》ミクストメディア,150 x 150 cm,2006

現代アーティストの作品の中には独特なシンボルが見られます。例えばジャン・シャオガンの気怠そうな両目、ユエ・ミンジュンの馬鹿笑い、ジョウ・ティエハイのサングラスを掛けたラクダなどがありますが、あなたのシンボルは何だと思いますか?

あなたがおっしゃったそれらのアーティストと違って、私が創造しているのはシンボルではなく、一種の絵画言語であり、それは如何なるストーリーをも語ることができます。ジャン・シャオガンやユエ・ミンジュンのような作家は、イメージで示すタイプのアーティストであり、そのスタイルやシンボルというのは、一旦その過程に入ってしまうと変化することが難しくなり、変わってしまうとそれは彼らの作品とは思われなくなってしまいます。私の場合は、特徴的なシンボルはありませんので、絶えず変化することができます。彼らは変化しないことで万事に対し、私は変化はするが根っこから離れることは無いというスタイルだと思います。

《2010-2011一个接一个》香格纳艺术家群展
会期:2010年12月19日〜2011年1月16日
会場:シャンハートギャラリー
住所:上海市莫干山路50号16号楼
TEL:+86 21 6276 2818
参加アーティスト:石青,薛松靳卫红计文于,浦捷,周铁海,张鼎,周子曦,耿建翌,施勇,向利庆,没顶公司,顾振华,张恩利申凡邬一名魏光庆,王友身,李山,陈研音,孙逊,黄奎,冯梦波,计文于与朱卫兵,胡介鸣,刘唯艰,梁绍基,汤国,丁乙
http://www.shanghartgallery.com

Text: Emma Chi, Li Ailin
Translation: Daiki Kojima

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