ソウルランド

PEOPLEText: Victor Moreno

コペンハーゲンのメンズウェアブランド、「ソウルランド」を展開するのは、まだ20代半ばの若手ファッションデザイナー、サイラス・アドラーだ。2008年に彼はデニッシュ・ファッション・アワードで最も新進気鋭のデンマーク人デザイナーとして選出された。2002年にブランドを立ち上げてから、サイラスは、ヨーロッパとアメリカに進出し、世界中で認められるブランドとしての地位を確固とするための様々なステップを踏んできた。日本では東京のビームスでも取り扱いがある。

このブランドは今のスカンジナビアやヨーロッパのファッションシーンの鍵を握っていて、彼らの勢いはとどまらない。アンダーグラウンドでのプリントのTシャツに始まり、現在ではスーツも含む全種類のコレクションを展開している。

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Soulland AW10 Collection

ソウルランドの設立は2002年ですね。とても若い時期にこの業界に飛び込んだ事になりますが、その事について聞かせてください。

僕は17歳の時にソウルランドを始めました。ある朝目が覚めた時に、もう学校には行かないと決めたんです。他にたくさんやりたい事があるのに、なぜ学校に行かなければならないのかと思って、数人の友達と共にソウルランドを始めました。しばらくして、友達は学校へ戻ったのですが、僕はそのまま続けました。

プリントTシャツから始まったブランドですが、早い時期からスケートボードやグラフィックデザインなどへの興味があったようですね。

僕はスケートボードおたくなので、スケートボードのチームTシャツを作ることは自然な始まりでした。まずは少ない枚数で、友達や小さなスケートボード・ショップに売ることから始めました。それから全くの素人ですが、グラフィックデザインもかじります。いくつかアルバムのカバーも手がけましたし、Tシャツのためのプリントを考えるのは楽しいものです。

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Soulland AW10 Collection

あなたが影響を受けている人はいますか?

たくさんの人達の影響を受けていますが、正直に言ってしまうと、僕の仕事に最も影響を与えているのは、ガールフレンドや仕事仲間、それに親しい友達などのごく身近な人達です。彼らは私の生活に変化を与えてくれますし、それがインスピレーションになっています。

これまでの数年間について聞かせてください。

これまでの数年間はとても大忙しで、最高に楽しかったです!ブランドを始めてから、とてもたくさんの変化がありました。ソウルランドを始めた時は自宅での作業でしたが、今では素敵なオフィスで7人のチームで働いています。そこは地下ですが、でも以前の仕事場よりもずっと素敵です。ここ数年間を通して、僕達は資金調達、発送、生産、経営戦略など、数えきれないほど多くの事を学びました。これがリアルタイムでのビジネススクールになっていますね。チームの人数が増えてから、より効率良くなりました。有能な誰かがビジネスの面をまかなってくれれば、僕がクリエイティブな作業に費やす時間も増えるのです。

海外の他の都市に住んだ経験はありますか?

半年間パリに住んでいたことがあります。コペンハーゲンを離れて一息つきたかったのですが、新しい環境で仕事に打ち込めることを心から楽しみました。今はコペンハーゲンに戻ってきて満足していますが、ぜひまたどこかへ行ってみたいですね。

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Soulland SS09 Collection

ソウルランド以外のブランドのデザインを手掛けたりしますか?

過去にコラボレーションをしています。昨年のワールド・エイズ・デイの時には、デンマーク人フォトグラファーのヤコブ・ホールドとTシャツのコラボレーションをしました。ヤコブと働けたことをとても嬉しく思っていますよ。今はデンマークの大企業の1つとの大きなプロジェクトに向けて活動しているのですが、とても楽しくて、みなさんにお披露目するのが待ち切れません。

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Soulland SS09 Collection

ソウルランドは他のブランドと組んだことはありますか?

昨年の冬に、コペンハーゲン・ファーとコラボレーションをしました。ファーと働いていて楽しいのは、使う素材が私達が普段使っているものと違うこと。それはソウルランドを磨くとても良い勉強になるのです。将来は、僕達のやっているのと、違うことをする他のブランドと一緒に仕事がしてみたいですね。

音楽との関わりついてはどうですか?

僕は音楽は大好きですし、今北欧からはたくさんのいい音楽が出てきていて、いたる場所で応援しています。昨年のロスキルド・フェスティバルではフー・メイド・フーと一緒に仕事をしたり、 ロイクソップのパフォーマンス用のアイテムをいくつか手掛けたりしました。音楽は僕達の展示会や、ショーや、映像などの中でとても大事な要素です。いい雰囲気を演出するのに欠かせませんし、私達の仕事の中でとても重要な部分を占めています。

ソウルランドのフェドーラ・ハットはあちこちで取り上げられ、ベストセラーのひとつになっていますね。他に小物のデザインをする予定はありますか?

あの帽子はとてもいい出来で、色違いでたくさんの形を作りました。今では僕達のコレクションの中の定番商品になっていて、帽子業者と共に働ける事をとても嬉しく思っています。帽子だけではなく、靴や鞄や財布のコレクションも展開していきます。誰でも使えるようなものにしたいですね。

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Soulland SS10 Collection

北欧のファッションデザイナー達と話すと、彼らの周辺で起きている事に対してとても前向きな反応が返ってきます。あなたはどうですか?

スウェーデンやデンマークからとても注目されるブランドが出てきていて、北欧は次第にファッションの中心地になってきている気がします。アクネは大変人気が出ましたし、スティーヌ・ゴヤヘンリック・ヴィブスコブアンソフィー・バックの様なデザイナー達も有名になってきています。彼らは才能にあふれていて、大変期待していますね。僕の経験では、人々はお互いに助け合う事がうまく、僕も他のブランドはライバルとしてよりも同僚として考えています。

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Soulland SS10 Collection

デンマークのデザインがとても活気がある様です。ヘンリック・ヴィブスコブ、ピーター・イェンセン、スティーヌ・ゴヤ、ソウルランド、ウッド・ウッド、Visbol de Arceなど多くのブランドがその地位を確立し始めていて、その他にも出始めています。そのことについて、どう思いますか?

ほとんどのブランドを知っています。コペンハーゲンはとても小さな街なので、みんな知っているようなものなんです。彼らにはとても尊敬の念を抱いています。僕達のオフィスはもともとヘンリック・ヴィブスコブと同じ建物にあって、 Vilsbøl de Arceが今はそのスペースに入っています。スティーヌ・ゴヤとは仲がいいですし、ウッド・ウッドとは何年も前に仕事をしました。窮屈なコミュニティだとまでは言いませんが、それぞれがお互いに助け合っていて、それがデンマークファッション業界の強みになっていると信じています。

スウェーデンのファッション業界は、ワイレッド、ミニマーケット、アンソフィー・バック、ウィークディなどの活躍によって堅実な安定を保っています。そのことについてどう思いますか?

スウェーデン人はビジネスとして成功させる素晴らしい力を持っています。枠にとらわれない考え方をする点で、デンマークのデザイナー達はとてもおもしろいのだと思います。

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Soulland SS11 Collection Show

数年前にスウェーデンでの「+46アワード」にノミネートされていますね。

ただノミネートされただけで、賞をとったわけではありません。シヴ・ストルダルが受賞しました。賞にノミネートされたことはデザインの正式な教育を受けていない僕にとって大変光栄なことで、また、スウェーデンの市場はとても興味深く、僕達がそこでの活動に力を入れているという点からでも、非常に意味のあるものでした。スカンジナビアで強力な名誉をもつことは、ブランドの地位を確立させるために大変重要なものなのです。

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Soulland SS11 Collection Backstage

2010年にパリ・メンズ・ファッション・ウィークに初参加されましたが、いかがでしたか?

7月のパリ・メンズ・ファッション・ウィーク期間中に初めてプレゼンテーションをしました。コペンハーゲンでのショーをしばらく続けているので、ステップアップしてパリで発表したことは素晴らしい経験になりました。初めてのプレゼンテーションは上手くいき、とても良い反響を受けました。今は次のシーズンでの発表に向けて活動しています。

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Soulland SS11 Collection

2011年春夏コレクション「ザ・スーツ」では、先シーズンから何か改善されたところはありますか?

2011年春夏コレクションは、ソウルランドにとってマイルストーンになります。このコレクションはレナード・コーエンの「ザ・スーツ」という題名の詩にインスパイアされていて、スーツを取り入れた初めてのコレクションになっています。過去のシーズンではシルエットづくりに試行錯誤していましたが、今回は初めてとことんまでやれたと言えます。また今回は今までのコレクションよりも大きく、スウェットやTシャツに多くジャージーを取り入れました。売れ行きは大変好調で、2月の店の売上高が待ち遠しいです。

コペンハーゲンではスーツで自転車に乗った人達を見かけます。都市の雰囲気と、かっこ良さと、ソウルフルなリラックス感はコレクションのアイデアになっているのですか?

その様に考えたことはありませんが、コペンハーゲンのおもしろい見方ですね。一理あると思います。シャープさとリラックス感を組み合わせるのは好きですが、ソウルランドにコペンハーゲンそのままを反映させようとした事はありません。

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Soulland SS11 Collection

SHIFTでは、パリのコレット、ロンドンのオキニ、以前紹介したストックホルムのアプレイスからの情報も扱っています。ソウルランドはこれらの店では売られていますか?

ストックホルムのアプレイスでは取り扱いがありますが、コレットとオキニではありません。このふたつはヨーロッパの市場で大きな役割を果たしているショップですよね。最近ではニューヨーク、ロサンゼルス、東京にあるオープニングセレモニーがとてもいいと思いますし、ロンドンのグッドフッドは注目すべき店だと思います。

ヨーロッパとアメリカの市場でのご自身のブランドの位置をどう思いますか?

ソウルランドはどちらの市場にも受け入れられていると思います。僕達は特定の国籍というより特定の消費者に向けて作っています。ソウルランドの服はベーシックすぎず複雑すぎず、デザインもわかりやすく仕立ても良いですし、それに人々は国や文化は気にせずに手に取ると思います。

パリ、ロンドン、ニューヨークでのこれからのコレクションの展示会は考えていますか?

またパリでの発表を控えていて、コペンハーゲン・ファッションウィークでの展示も続けていきます。それからほとんどの大きなファッションウィークには出しているので、ミラノ、パリ、ニューヨークなどのショールームで目にすることが出来ます。

コペンハーゲンに旗艦店はありますか?

USインポート」という新店舗の1号店が数週間後にオープンします。この店ではソウルランドの商品を幅広く揃え、スティーヌ・ゴヤバック・バイ・アンソフィー・バックリバティーン・リバティーンペンドルトン、そしてその他にもたくさんの素敵なブランドを取り扱います。

Text: Victor Moreno
Translation: Yumiko Isa

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