佃 弘樹

PEOPLEText: Mariko Takei

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佃弘樹個展「4010 NIGHT TIME」展示作品

そもそもプラモデルなどの既存のパーツを組み合わせて立体作品を作るようになった、そのきっかけは何でしたか?

小さい頃、机の引き出しにおもちゃがいっぱい入っていて、それをよくバラバラにしては新しい形に作り直したりしていたんですね。その時やっていたことと全く同じことを、いい歳こいてもまだやってるという感じです。でも、そういう初期衝動っていうのが結局ものを作るということの中で一番重要な要素だと思います。

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佃弘樹個展「Recollections」展示作品

昨年秋に「NANZUKA UNDERGROUND」での個展では、白黒で平行世界を描いたドローイングシリーズの新作を披露されていましたが、今回は立体のコラージュ作品の新作を展示されます。立体や平面の作品を手がける上で、これまで展開してきた作品と異なる点があれば教えて下さい。

自分の空想や幻想を形にするという点で、両者の間に違いは無いのですが、昨年のNANZUKAでの展示は僕の幼少期の記憶をモチーフにした作品が多かったですね。今回の立体作品は平面でいうところのスケッチのような感じです。立体コラージュの習作的なスタンスであまり深く考えずに楽しみながら作りました。

立体や平面でどのようなことを表現したいですか?共通しているものがありましたら教えてください。

僕の全ての作品に共通していることがコラージュで、コラージュってどんどんやっているうちに自分でも予期しなかった形が生まれてきたりして、それがものすごく楽しいのですが、結局空想という行為もいろんな記憶の断片を材料に作り上げられる、いわば記憶のコラージュだと思うのです。そういう僕の記憶、その昔感じた黄色い空の虚無感とか、初夏の燃え上がるような新緑の圧倒的な存在感とか、そういう思い出を形にして表現している感じです。

作品を制作する上で影響を受けているものは何ですか?

音楽、映画、本、アートから人との会話、日常の風景などあらゆるものに影響を受けていると思います。僕はものすごく影響の受けやすい人間なので、手法がコロコロ変わるのは、そのせいではないかと思います。

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佃弘樹個展「4010 NIGHT TIME」展示風景

アーティストや本や音楽やファッションなど、好きなものを教えて下さい。

近年は東ドイツのペインター、ラオホやハブコスト、フランクニーチェあたりが好きです。音楽では去年の暮れに買ったジムオルークの新譜、40分の大作が1曲だけ入ってるやつなんですが、これがめちゃめちゃ良くて、毎日聴いています。最近観た映画ではポンジュノの「母なる証明」が一番良かったです。あの監督の映画は本当に素晴らしいです。

今後やってみたいことはどんなことですか?

よく、作品が建築っぽいねって言われるので、本物の建築物を作ってみたいです。

佃弘樹立体作品展「4010 NIGHT TIME」
会期:2010年3月25日(木)〜4月14日(水)
オープニングレセプション:3月25日 18:00〜20:00
会場:トーキョーカルチャートbyビームス
住所:東京都渋谷区神宮前3-24-7 3階
TEL:03-3470-3251
https://www.beams.co.jp

Text: Mariko Takei

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