CTRL

PEOPLEText: Victor Moreno

ストリートファッション業界で非常にクオリティの高い商品に出会うことは珍しい。しかし、スカンジナビア・ブランド「CTRL」(コントロール)ならば話は別だ。ヘルシンキより愛を込めて活動する彼等は、今まさにファッション業界を席巻している。フリーマンは、このフィンランド発のブランドの設立者でありデザイナーだ。彼のチームはティモシー・クーン(オールラウンダー)とエサ・ヒュトネン(ブランド・マネージャー)から構成されている。

『いろいろなエキシビションやパーティー、親睦会なんかでひっきりなしに飛び回っています。』と語るフリーマン氏に話を伺った。

CTRL FREEMAN

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CTRLは設立して約10年ですよね?

CTRLが生まれたのは1995年ですから、15年ほど前になりますね。設立当初のCTRLはスケートボードに焦点を当てていたため、扱う商品は、ボードやウィール、グッズ、Tシャツ、フーディーなど、典型的なスケートボード・ブランドのラインナップを取り揃えていました。そして、2004年頃にストリート・ウェアやファッションに目を向け始め、メンズとレディースの双方に向けた、大掛かりなコレクションのプロデュースをスタートしました。今やCTRLはファッション・レーベルとして成熟の域に達し、ストリート・ファッション・レーベルと呼ばれるようなスケートボードとストリート・カルチャーに深く根ざしたブランドとなりました。私達はいまだにスケートボードをつくり続けていますし、今後もつくり続けて行くでしょう。スケートボードが大好きですからね。

設立当初の私たちはもっと若く、今はほんの少し歳を取ったので、ブランド自体も私たちと共に変化してきたのです。CTRLは私たち自身の現在を映し出しており、それは常に進化し続けています。ようするに、今の私達はACNEやその他の、よりハイエンドなデザイナー・ブランドに興味があるということです。ということで、CTRLのラインナップにもそのような雰囲気の作品が登場します。

最初はフィンランド国内での販売のみにフォーカスしていましたが、今では世界にも目を向けており、2009年の段階で33の国々で展開しています。(私たちはとっても日本が大好きです!東京も大阪も愛しています!!!)

そしてとても重要な事のひとつは、私たちが100%完全に独立した企業であり、常に自分たち自身で善し悪しの決定を下しているということです。

そして、ファッション・レーベルを運営しているということで、単純にスケートボード・レーベルを運営するよりも、もっとずっと女の子たちから注目されています。いろいろな事が変わっていきますが、これだけは絶対に変わりません。女の子たちはファッションが大好きなんです。

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最近のヘルシンキはよりヨーロッパとより繋がっているように感じます。90年代以降のヘルシンキの発展について教えて下さい。

痛々しいほど遅いですね。ヘルシンキだけではなく、フィンランド全体で不況が続いています。しかし、状況は変わってきていて、重要なのは人々の姿勢が変化してきていることです。ヘルシンキの人々にとって、もっともショッキングだったのは、すべてを白日の下にさらした悪名高きインターネットですね。人々は遂に他の街や世界の状況を目の当たりにしたのです。世界に打って出るなんて騒ぎを起こそうものなら、裏切り物扱いを受けるというのが、長年に渡ってこの国の一般的な感覚だったのですからね。

ヘルシンキにも才能のある人々は常にいたのですが、表にでてきていませんでした。長年に渡って、アート、音楽、デザインなど、クリエイティブで優れたものは、すべてフィンランド国内の事として知られるべきではないとされていたのです。今、人々はインターネットを通じて自らの才能を伝えることができます。インターネット上で、とても大切なコネクション作りをすることができます。そして、実際に世界中を旅して彼ら自身の魅力を人々に見せることができるのです。そして、その才能は少しずつ評判になり、それと同時に世界中の人たちもヘルシンキでなにかが起きていることに気がつくのです。世界中の人々は、僕たちの素敵なご近所さんであるスウェーデンのやりかた方に注目しています。スウェーデンは、自国の才能を地球規模で発信するためのネットワークづくりとマーケティングに関する、より多くの歴史を持っています。

世界中が、スウェーデンのファッションブランドによるサクセスストーリーで溢れているにもかかわらず、CTRLと同系統のブランドがフィンランドから外へ踏み出そうとしない現状の中で、私たちがヘルシンキでやっていることは先駆的な仕事をしている良い例でもあります。フィンランド政府にも責任はあると思いますね。政府は、ノキアのようにテクノロジーをビジネスの中心にすえた企業をサポートすることのみに焦点を置き、ファッションを輸出することには興味がありません。ファッションが大きなビジネスであることを理解していないのです。スウェーデンでは、政府がクリエイティブ分野の企業の海外進出を強く推しています。そのため、世界市場でのスウェーデン・ブランドは、フィンランド・ブランドと比べてはるかに新鮮なのです。

だからフィンランド・ブランドにはCTRLが必要なのです!!たのむよフィンランド、愛はどこにあるの!?って聞きたいです。

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グラフィックデザイナーとして、いま現在同じ道を歩もうとしている人たちに何かアドバイスはありますか?

グラフィックデザインとウェブデザインを学びましたが、CTRLの立ち上げで忙しくなってしまったために卒業はしていません。仕事を始める糸口を得られたことで学校へ通うことの意味合いは満たされたと思っています。勉強することは大切だと思います。人生の中でも面白い時期で、給料なしで働いているようなものですね。しかし、卒業して職を得たら人生の次の段階です。学生として苦労した後ならば、給料のありがたみをたやすく理解することができるでしょう。だからといって、学校へ行くことが義務なわけではではありません。やりたいことがわかっていて、そのための技術も持っているならば、学校へ行く必要はないはずです。それに、仕事をやる上で必要なことの大部分は学校で習わないことではないでしょうか。学校では別のことを学ぶのだと思います。全般的にマインド・トレーニングのようなものですね。実際的な要素がない瞑想のようなものです。海外の学校に行くのはいいですね。将来のためのいいネットワークづくりになります。となりの芝はいつでも青いですしね。

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ファション・ビジネスに関わることになった経緯を教えて下さい。

自然な成り行きでした。スケートボードやTシャツなどを通じて洋服やグラフィックにいつも夢中になっていましたから、洋服のデザインはとても簡単だという印象でしたね。母親から教わった以外に正式なファッションの教育は受けていません。母は私が子供の頃、いつも着るものをつくってくれたものです。スケートボードやスノーボードの雑誌からアイテムを選び出し、それらをもとに服のスケッチを起こすと、それを見て母がつくってくれました。現在CTRLと工場が一緒にやっていることと似ていますね。実際、ファッションをやる上で最も重要なスキルは優れたセンスだと思いますよ。それさえあれば成功します。センスとビジョンさえあれば、技術はたいして必要ではありません。その他のことは、いつだって引き受けてくれる人たちがいるものです。

私にとってのアパレルデザインはグラフィックデザインに通じるところが多くあり、同じ方法を使って物事を組み合わせたり,見つけ出したり、組み立てたりしています。ラフスケッチを起こすことはまずなく、すでに車輪として存在しているものに対して、独自の解釈をつくり出していくような方法で制作します。すべてのデザインは、すでに誰かの手によってつくられたものの上に成り立っているというのが私の考えで、常に、世界中のデザイナーが意識下の集団作業を行っているようなものなのです。

CTRLは素敵な洋服をつくっていますよね。クレイジーさ、新鮮さ、ユニークさが合わさって、クオリティの高い作品に仕上がっています。すべてフィンランドでつくられているのでしょうか。

デザインはすべて私が手掛け、ブランド・マネージャーのエサがコレクションの全体図を担当します。ここまではすべてフィンランドですが、生産はインドや中国で行われています。

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CTRLはさまざまな地域で展開していますが、その中でも注目している成果について教えてください。

一週間前に上海から戻ってきたところで、CTRLのエキシビジョンを上海のソース・ギャラリーで開催したのですが、上海はもちろん、中国全体でストリート・ファッション・シーンがポピュラーになってきたこともあり、素晴らしいものになりました。CTRLを世界に紹介できることは素敵だし、旅は最高の楽しみです。バルセロナでは、近代美術館でもあり、スケートボードのメッカでもあるMACBAの真横で2ヶ月間にわたってポップアップ・ストアをオープンしたところです。日本でのブランド展開もとても順調で、非常に満足しています。現地で一緒に仕事をしているISAOとその仲間たちは本当に素晴らしいです。

他のブランドとも多くのコラボレーションをやりました。バイス・マガジンとはスケートボードをつくりましたし、アディダス・スケートボーディングとも2作目となるスケートボードをつくったところです。ロッカーズNYCと一緒につくったオールド・スクールのスケートボードは最高にクールでしたよ。バイス・ジャパンのサブレーベルであるホワイト・ファクトリーとはTシャツをつくったところです。東京のクールなショップ、スタジアムとは「フィーリング・ライク・ア・サウザンド・エン」ベースボール・ジャケットをつくりました。次はフィンランドの素晴らしいブランドであり、日本でも人気のムーミンとのコラボレーションを準備中です。

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現状どこのマーケットに、より満足を得ていますか?

先にも言ったように、日本に一番注目しています。日本の文化や人が大好きで、もっと頻繁に日本を訪れたいです。でも、基本的に、関わる全ての国の人たちと仕事をすることが好きです。CTRLは世界中を愛しています。

私たちが訪れるフェアの中で面白いのは、おそらくニューヨーク、ロサンジェルスのもの。それからラスベガスには変な空虚さとシュールな感じを味わいに行きます。

フィンランド発のブランドは少ないですか?

フィンランド発のブランドは多くはありません。少なくとも私たちが関わったり、フェアで顔をあわせるようなものはね。おそらく最も有名なのはイヴァナ・ヘルシンキではないでしょうか。とっても素敵なブランドで、私の友人であり優れたデザイナーでもある、パオラ・スホネンによって立ち上げられました。そしてもちろん、伝統があり素晴らしいブランドのマリメッコです。主に衣類を扱っているブランドなのですが、世界的にはインテリア・ブランドとして認知されています。カルフもクールなブランドですが、最近のオリジナル・コレクションには、ずれを感じますね。

スケートボードがあなたの考え方に強く影響しているということですが、“プロ”のために洋服をデザインしようとは思わなかったのですか?

思わなかったですね。私たちの考えるスケートボードとは、見た目のことよりも常に精神的な姿勢なのです。CTRLの歴史の中でも、Tシャツ一枚を除いてスケートボードに関係した作品はありません。ビクトリア朝風の女性がスケートボードの上でバランスを取りながらヨーヨーをしているというデザインでした。しかし、スケートボーダーは私のデザインを見るだけでCTRLのルーツがスケートボードにあることを理解すると確信しています。私もスケートボードを通じて人生を学んだのですから。デザインのなかにはスケートボードの事に関する隠されたコードがちりばめられています。例えば、最新のコレクションのためにデザインしたTシャツには、古いジャズバンドの写真の中に「マークのBGM:マジにかっこいいジャズ」(「MARK’S SONG: ‘some damn good jazz’」)とありますが、これはスパイク・ジョーンズが監督した、ブラインド・スケートボーダーズによるビデオ・デイズという伝説的なスケートボードの映像作品のラストで、マーク・ゴンザレスのパートに使われていた音楽のことなのです。このジャズバンドの名前は今でもわからないんですけどね。

CTRLにとっては音楽も重要なインスピレーションなのでしょうね。

ハンサム・ファーズのダンとアレクセイは最も有名なCTRLのファンの一人ですね。彼らとは本当に上手く行っています。今はCTRL×ハンサム・ファーズのツアーTシャツをつくっています。ダンとアレクセイは最高です。私たちのことをすごく気に入ってくれているし、私たちも彼らのことが大好きです。ファーズを愛しています!

今後のプランや秘密、そして目標を教えてください。

CTRLにとって最大のステップは、来春ベルリンでフラッグシップ・ショップをオープンすることですね。長い間温めていたのですが、ついに現実になります。

それは素晴らしいニュースです。応援しています!

CTRL
住所:Rauhankatu 2A C, 00170 Helsinki, Finland
TEL:+358 45 137 5105
http://www.ctrlclothing.com

Text: Victor Moreno
Translation: Kazuyuki Yoshimura

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