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Public/image.METHOD

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OFFFフェスティバル」、「FITC」、IdNの「マイ・フェイバリット・カンファレンス」や「デザインエッジ」…。海外ではアート/デザインの分野でポータル的な役割を担っている存在が、クリエイティブ・カンファレンスを開催するというのは決して珍しいことではない。近年日本でも、CBCNETの「APMT」や、Hitspaperの「HIGH5」を筆頭に、特にメディアアート、ウェブデザインなどの業界で同じような動きが活性化している。そして、設立以来 PUBLIC-IMAGE.ORG において、時代の気鋭なアーティストを取り上げてきたクリエイティブレーベル「PUBLIC/IMAGE.LABEL」が、満を持して独自のクリエイティブ・カンファレンス「PUBLIC/IMAGE.METHOD」を開催した。

思えば、2007年に PUBLIC/IMAGEが設立され、『自分たちの“パブリックイメージ”は自分たちで作っていく』という構想のもと、独自の視点と幅広い情報網から興味深いアーティストのアーカイブ化し始めたのが約2年前。それ以来、日本語で配信が行われている主要なアート/デザインポータルとして確固たる地位を確立してきた。そのPUBLIC/IMAGEが新しいカンファレンスをスタートすることを耳にしたアーティスト、デザイナー、それらを取り囲むギークな人々が一斉に駆け付け、チケットは即完売。そして2009年5月16日、満員の会場の中で記念すべきイベントがスタートした。

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PUBLIC/IMAGE.METHOD セッション1「チームラボ x タナカカツキ」

最初のセッションは、チームラボ代表の猪子寿之とマンガ家タナカカツキ。チームラボは、テクノロジー、アート、デザインの境界線をあいまいにしながら、インターネットから空間まで幅広く表現というものを追い続ける集団。一方、タナカカツキは、マンガという領域にとらわれずイラストという手段で独創的な世界観を世に送り続けているアーティストだ。


例えばウェブ業界では、Action Scriptの度重なるバージョンアップによって、Flashの物理演算の可能性が更なる広がりをみせており、その技術はなおも進化し続けている。猪子は『そういった技術の進化が、大衆にもたらすことが出来る楽しさは何だろうか?』ということを常に追い続ける。タナカカツキとコラボレートしたプロジェクト「SKETCH PISTON 2」では、タナカのイラスト的な愉快さとウェブにおける最新の技術を融合し、"誰でもマンガ家になれるツール"を実現する。「専門的な技術のない大衆でも、クリエイティビティさえがあれば面白いものを作れる時代がくる」という可能性を笑いと共に提示してくれた。「名前のない面白み」を生み出すチャンスは、アーティストだけに与えられた特権ではないのかもしれない。


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PUBLIC/IMAGE.METHOD セッション2「FUGAHUM x 田島一成」

次のセッションは、FUGAHUM×田島一成。FUGAHUMは、エンライトメントのアートディレクター三島章義とファッションデザイナー山本亜須香による気鋭のファッションブランドで、コンセプチュアルなアプローチでファッションというものを捉え、アパレルという垣根を越えたアーティスティックな表現を行う。田島一成は、ファッション誌、広告、CMなどで活躍する世界的な写真家だ。

この2組が見せてくれたのは、まさしくプロフェッショナルの“METHOD”だった。FUGAHUMのA/Wの新作「WIRELESS MIND」のカタログの撮影を行った田島が、どのような哲学を持ち撮影に臨んだのかという思想的な部分と、独自の撮影と編集の方法論を、撮影風景のドキュメンタリーの映像と共に具体的に解説した。そこに存在するのは、深い考え方と強いこだわり。様々なソフトウェアを、あくまで"自分の表現に必要なツール"として使いこなす田島。プロフェッショナルの仕事に触れた瞬間だった。

独自の思想と方法を持つ2組。当然のごとく発生する衝突。しかし、2組の持つ奇跡的なバランス感覚の間で生まれたそのカタログは、すでにカタログという役割を超越し、まさしく“1つの作品”として完成した。そこには、FUGAHUMならではの強いコンセプトが刻み込まれていた。


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PUBLIC/IMAGE.METHOD セッション3「I AM ROBOT AND PROUD x 真鍋大度」

オーディエンスの感性を大きく揺さぶる音楽とインタラクティブアートの融合。心地よく暖かいエレクトロ・ポップサウンドで知られているカナダの「I AM ROBOT AND PROUD」と、YouTubeの顔面音楽ビジュアライザーでお馴染みの真鍋大度のセッションは、そんな美しい音楽とインタラクティブが組み合わされた実験的なライブで幕を開けた。


極端な話、ビヨンセがバンバン腰を振って踊っているライブと、エレクトロミュージシャンが大人しくキーボードに向かって演奏しているライブ。音楽的要素は別にしても、身体的表現と言う意味で面白いのは、やはり前者ではないだろうか。いわゆるエレクトロ系の音楽では、機械や鍵盤の操作などで音を作る以上、どうしても身体的な表現が少なくなってしまう。耳で楽しむことはできても、目で楽しめるかと言えば難しい所は多いのが実情である。

しかし、エレクトロミュージックとインタラクティブアートが融合すればどうだろうか。I AM ROBOT AND PROUDと真鍋大度のセッションでは、I AM ROBOT AND PROUDが奏でる音に、人々が口にくわえたLEDが反応し、様々な色で発光する。つまり、“音の視覚化”である。1つの音に対して普段とは異なったアプローチをすることで、そこに新しい価値を与えているのだ。結果的にわれわれ観客は、「目に見えるもの=視覚に作用するもの」の印象の強さを再認識することになった。


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PUBLIC/IMAGE.METHOD セッション4「辻川幸一郎 x 伊藤直樹」

セッション4は、辻川幸一郎伊藤直樹の対談。コーネリアスの映像制作を始め、アートディレクション、MV、CM、ショートムービーなど多様なフィールドで映像にかかわる辻川幸一郎と、LOVE DISTANCEBIG SHADOWUNIQLO MARCHなどCMやウェブ、インスタレーションまで媒体にとらわれない企画とデザインを展開する伊藤直樹が、「インタラクティブの自由」について話を繰り広げた。

インタラクティブというと、何となく"自由"や"直感的"などの言葉を連想してしまうが、2人はあえて「インタラクティブである=制限する」というアイデアを提唱する。伊藤は、かつて「お化け屋敷は何故面白いか?」ということを深く考えた。そして、「入り口と出口があるから」という極めてシンプルな結論を導き出した。辻川は、『一本の映画を、常に早送り、巻き戻ししていたら非常につまらないものになってしまう』と言う。

一見関係性がないように思えるこの2つのエピソードだが、実は"制限"という意味で共通する思想がある。オーディエンスは、ある意味で「任意性を制限されている=自由を奪われている」からこそ、その中で感情を揺さぶられる何かを感じることが出来るというのだ。インタラクティブの分野でも、ここを履き違えてしまうとユーザーに間違った自由を与えることになり、結果的に何らかの強い印象を刻み付けることは出来ない。実際の現場で、常にオーディエンスに対する訴求力というものを研究している彼らならではの思考である。


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PUBLIC/IMAGE.METHOD セッション5「中村勇吾 x 富野由悠季」

ラストを飾ったのは、世界的インタラクティブデザイナー中村勇吾と、彼がかねてからファンであったアニメ界の巨匠、富野由悠季の2人。独自の視点からアニメーションの動きの機能を見つめ続けるプロフェッショナルたちが、「動きの奥にあるもの」について語った。

道具が便利になり1人でもアニメが作れるこんな時代に、富野はあえて『ツールの中で踊らされる素人が増えている』と警鐘を鳴らす。“自分が好きなもの=大衆に受け入れられるもの”という公式は決して成り立たない。彼が監督として世に送り出した「機動戦士ガンダム」や「聖戦士ダンバイン」など、日本のアニメーションの歴史に名を刻んできたこれらの作品たち。そこには、プロフェッショナルでしか成し得ない孤高のクリエイティビティが存在する。そして、そのクリエイティビティを支えているのは、他でもない"絵心"。『言葉では説明できないその"絵心"こそが、動きの奥には存在しなければいけないのだ』と富野は語る。

そして、インタラクティブデザインのパイオニアとしてウェブ上であらゆる動きの機能を表現してきた中村勇吾は、その動きの奥にある"人の存在"に注目する。『アニメの語源であるアニミズム=魂の存在こそが、その動きを人間の感情に作用するものにする源である』と語る中村。そのアイデアは、彼の最近の作品「iida」や「UT ZOOM!」においても、物理的/身体的なモーションピクチャとして反映されていると言える。

多様なデジタルモーションの表現が可能になった今だからこそ、(ある意味では原点回帰的に)人間が直感的にキモチイイと感じることができる動きに注目が集まっている。やはりその動きの作画というプロセスにおいても、試行錯誤を重ねたプロフェッショナルでしか出来ない表現があり、それを成し遂げるには繊細すぎるほどの神経が要求されている。

全6組、違ったフィールドで活躍するアーティスト同士の対談という形で行われたこのカンファレンス。PUBLIC/IMAGEがこのイベントを、このタイミングで開催したことは、アーティストの選択、内容、そして対談という形式という観点から見ても、結果的に大きな成功を収めたのではないだろうか。この動きは日本のアート/デザインシーンにおいても更に広がっていくべき流れであり、同時に溢れかえっていた会場を見ても分かる通り、大衆が求めている流れでもある。
次回は、どんなメソッドで我々に教育と娯楽を与えてくれるのだろうか。今後もPUBLIC/IMAGE.LABELの動きに目が離せない。

PUBLIC/IMAGE.METHOD
日時:2009年5月16日(土)14:00〜20:00
会場:ベルサール六本木
主催:ANSWR INC.
企画:PUBLIC/IMAGE.LABEL
協賛:ADOBE SYSTEMS
http://www.public-image.org


Text: Tatsuhiko Akutsu

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