神谷泰史「遍在する音楽」

HAPPENINGText: Shinichi Ishikawa

音楽の定義というのは難しい。狭義で考えれば、ドレミの音階があって、メロディーがあって、リズムのあるもの、ということになる。でも、それが音楽の全てだと決めてしまうのは、音楽の可能性を狭く閉じ込めるものではないだろうか。

神谷泰史は、札幌在住のコンピューターを使用したアート色の濃いライブ・パフォーマンスを行ったり、オリジナルレーベル「aMiLABEL」を主宰しているアーティスト。開催中の個展に行ってみた。バスで行くと地下鉄東西線円山公園駅のバスターミナルから環12ロープウェイ線の乗り、旭が丘高校前で下車する。そこまでの時間は15分程度だろうか。バス停より歩いて5分程度のところに、会場のギャラリー門馬がある。本館とは少し離れた場所にある独立した建物が、今回の個展会場ギャラリー門馬ANNEXである。

個展のコンセプトは、ライブやCDではない音楽の提示。音は時間的・空間的に並び替えることで音楽になる、という神谷の考えを実践する実験。もしそれが音楽になるとすれば、自然がすでに音楽を内包していることになる、と神谷は考えている。これを神谷は “Ubiquitous Music”(遍在する音楽)と呼ぶ。日常を注意深く聴けばそこには音楽があると考える、ということだ。

会場に入ると、細長い空間の床に、長方形の木板が奥までひきつめてある。そして、一枚ごとに赤と、黒の細いコードが天井まで伸びている。非常にミニマムな空間を構成されていて気持ちが良い。そして、どこからからか“音”が聴こえてくる。自然の環境音、ノイズという感じだ。

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