ウィーン・フェア 2009

HAPPENINGText: Daniel Kalt

世界中の首都と「第2の都市」がクリエイティブの中心として認めてもらおうと躍起になっている中、ウィーンにはそれを期待できるとても重要な資源がひとつある。ヨーロッパの中心部に位置する、そのオーストリアの首都は、文化的可能性を秘めた、その地理的ポジションと密接なつながりがあるのをとてもよく強調している。非常にロジカルに、そして、ウィーン・フェアのオーガナイザーらは、どちらかというと控えめなこのアートフェアーにコレクターが訪れてくれるよう、その短い歴史の中で(2009年は開催5回目にあたる)中東欧の国々に目を向けた。不況からくる不安や、過去数年に渡るこれまでに、アート市場に流れてきたビックリするほどの大金をつぎ込むことに気が進まないという結果以外は、2009年の全体的な雰囲気は良かったようだ。この新しい空気が、このような比較的小さなアートフェアにとっては、若い地元の才能が国際的に公に紹介される場所として、むしろ好都合なのかもしれない。結局のところ、アート世界から集められた最新作品は、まだ”手頃な”作品を作っている新星のアーティストのために多くのスペースを必要とするだろう。そして、ウィーンフェアは、裕福な一般コレクターだけに届けられるものではなく、どちらかというと、膨らみの小さなお財布を持ったたまにアート作品を買うバイヤーが手ぶらで帰ることがない、例えば写真集など手頃な作品が揃っている場所だ。

ウィーンフェア 2009
Svenja Deininger, exhibition view Galerie Martin Janda, 2009, © Martin Janda gallery

トータルで122あるギャラリーの展示を見ても明らかなように、その内の29の展示からはウィーンフェアが中東欧の地域にフォーカスしていることが分かる。それは、コレクターにとっても、ジャーナリストにとっても難しい課題である。何はともあれ、アーティストのポジションや、ギャラリーセレクションの概要の中でも触れる価値のあるものに、ウィーンを拠点としている「マーティン・ヤンダ・ギャラリー」がある。このギャラリーは、すでに確立しているアーティスト、ローマン・シグネールの作品と、新顔のスベニア・ダイヒンガーを並べて展示していた。

ウィーンフェア 2009
Nick Oberthaler courtesy of Layr Wuestenhagen Contemporary © Gregor Titze

Layr Wuestenhagen Contemporary」もまた、新しいローカルシーンから確かな才能を選んだ。Nick Oberthalerは1〜2ヶ月前にそのギャラリーで展覧会をすでに行っていて、フェアでは全ての壁を与えられ、観客を引き寄せたようだ。

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