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ウィーン・フェア 2009

HAPPENINGText: Daniel Kalt

ウィーンフェア 2009
David Cerný, Krištof Kintera, Tomáš Pospíšil, Viktor Frešo Entropa, 2009, mixed media, courtesy of Kressling Gallery, Bratislava © David Cerný

東欧の面白いギャラリーには、セルビアの「ニュー・モーメント・アイディアズ」、チェコ共和国の「ハント・カストナー・アートワークス 」、ポーランドの「ギャレリア・ピェス」やスロバキアの「Kressling」などがある。「Kressling」は、かなりスキャンダルな作品を展示している。例えばダヴィッド・チェルニーの作品「Entropa」は、チェコ共和国が今年始めにEU議長国を引き継いだ時、ブリュッセルで大きな騒動を引き起こしたそうだ。

ウィーンフェア 2009
Stano Masar, On the Edge © Stano Masar

あまり目立たなかったのは、ソロバキアの「Priestor」による展示だ。そこでは、 Stano Masárの白いねずみの人形がギャラリースペースに広がり、比喩的な都市パラサイトの一群を具現化していた。面白かったのが(「Widauer」から出展の)Anna Jermolaewa 。彼女も映像作品「Der Weg nach oben」(頂点への道)の構成要素に研究用のねずみをセレクトした。社会における、ある種のプロセスについての新しい見解を引き起こす、現在の世界的な状況に確実に何かがあるのだろう…。

ウィーンフェアの会場の外では「curated by」というタイトルの大きなアートイベントが開催された。これは「departure」という組織により企画されたもので、その組織は、自治体の文化指針で重要な役割を果たしている。「departure」の掲げる目的は、工業デザイナー、建築家、ファッションレーベルなど、クリエイティブな業界の起業家をサポートすることで、ウィーンを芸術やアート市場を超えた効率的なクリエイティブなメトロポリスへと変えていくというものだ。「curated by」の全体的なクオリティに少なからず疑いがあるが、ほんの小さなファインアートプロジェクトが「departure」の公表した目的とどう和解するのか理解するのは難しい。(有名なイニシアチブが今年の初めにパリ・ベルリンで開催したのが、ギャラリスト達が都市を交換して、その交換した先でキュレーションし、その交換した都市のアートスペースを使って行った展覧会プロジェクトの)最近かなり人気のあるコンセプトについては、国際的に有名なキュレーターが「departure」により招待され、18カ所のウィーンのギャラリーで4つのグループ展が実現した。Jérôme Sans、María de Corral、Dan Cameron、Matthew HiggsやGianni Jetzerは、彼らのベストを尽くし、常に刺激を求めるカルチャー中毒な人々を楽しませた。ある人はこの大きな疑いようもなく費用のかかった努力が、すこしやり過ぎてないかどうか尋ねてみたくなるだろう。しかし、多くの質問で楽しみが奪われるのはんどうだろうかと思う。

しかしもちろん、「curated by」は、ウィーンフェアの期間だけ注目するアートイベントではない。アート好きな人々を招きたくなるような小規模なアートセンターや使われてないスペースがかなりの数あるのだ。素敵なサプライズとしてあるのが、Chicks on Speedがパフォーマンス「Power Tools」でウィーンの新しいBawag Contemporary(絶対に見ておいたほうが良い場所)というアートスペースを揺り動かしたのだ。見るのがいつも楽しくなるような女の子たちの集まりが、彼女たちのこれまでの安っぽくて、初期の下品なベルリンスタイルを取り戻していく。今ではとてもよく知られた美学だけれど、明らかにそれはまだ街で流行っていて、その街はドイツの首都のように、楽しくアートっぽい街になろうとして一生懸命にがんばっている。

Text: Daniel Kalt
Translation: Mariko Takei

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