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札幌ビエンナーレ

HAPPENINGText: Mariko Takei

「札幌ビエンナーレ」。タイトルにこう書くと、あたかも国際現代アート展が札幌で行われるのかと嬉しい驚きを与えてしまいそうだが、もちろん札幌でアートビエンナーレが開催される訳ではない。でも、そんな日がもうすぐやってくるのかもしれないと感じさせる手応えがあるのは確か。
札幌市立大学のメディア芸術論のクラスで、胸に期待がパンパンに膨みそうな札幌でのアートビエンナーレの可能性に着目した授業が行われた。大学とその学生達によって、架空だけど期待溢れる「札幌ビエンナーレ」への第一歩のドアが開いたので、ちょっと覗いてみることにした。

札幌ビエンナーレ

札幌市立大学では、メディアデザインコースのひとつとして、札幌での国際コンテンポラリーアートビエンナーレ「札幌ビエンナーレ」の発展について検証していく「メディア芸術論」のクラスがドイツ人アーティストのニーナ・フィッシャーマロアン・エルサニを教師陣に迎え昨年から今年の1月末まで行われた。海外や国内で開催されているアートビエンナーレやトリエンナーレの内容に触れながら、札幌での国際アート展開催の必要性を見出し、そして札幌独自のアートビエンナーレのアプローチ法を探るというものだ。

日本では去年秋に開催された横浜トリエンナーレや今年の夏開催予定の新潟の越後妻有トリエンナーレをはじめ数々のアートビエンナーレ(トリエンナーレ)が既にある。そもそも、なぜ「札幌ビエンナーレ」を授業の題材に選んだのか。その理由をクラス担当教師のニーナに尋ねてみた。

『マロアンと共に私達は創造的都市としての札幌をテーマにした作品作りを行っていて分かったのは、札幌でのコンテンポラリーアートで何か特に起こっていることもあまりなく、メジャーなアートイベントが将来札幌で行われたら、その良い財産となりうるのではないかと考えたからです。しかし、現在の札幌にはその準備がまだ整っていない。そこで、近い将来に起こりうる「札幌ビエンナーレ」というアイディアを楽しんでみようということで、人々の好奇心をくすぐり、様々な条件を確立し、この種のアートフェスティバルの必要性や他のビエンナーレと比較した可能性あるコンセプトを議論していこうと考えました。』

札幌ビエンナーレ

そこで、このクラスの生徒達は5〜6人くらいのグループに分かれ、他の都市で開催されているアートフェスティバルについて学びながら、札幌独自のアートビエンナーレ(トリエンナーレ)開催に向けて必要とされる様々な取り組みを、クラスの最後のプレゼンテーションでそれぞれ披露した。イベントのコンセプト作りから、会場選び、開催期間の設定、ロゴ制作、ポスター制作まで手がけ、ニーナの言う『人々の好奇心をくすぐる』という部分に関しては、「公共スペースのアート面からの参画」という課題の中で、それぞれのグループが街のいたるところでビエンナーレのコンセプトに基づいたアーティスティックな活動を行う「アート・インターベンション」を計画。大通り公園や地下通路、狸小路商店街など公共のスペースの中でアート活動を行うということ、またその必要性を問いながら、街にいる地域の人々にもアートを意識してもらう働きかけを行った。そして、プレゼンテーションの中では、それぞれのグループがアート・インターベンションの様子を映像に納め編集、披露することで、アーティストサイドの視点で街でアートを繰り広げるアプローチ、またイベントの主催者の視点から地域とアートが関わるアプローチの2つを同時に学んでいたのが面白かった。

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