ツェ・スーメイ

PEOPLEText: Mariko Takei, Yurie Hatano

ご両親は音楽家。ご自身もチェロを演奏されますよね。音楽を作品に取り入れるのは自然な流れだったかと思います。作品の中で音楽はどのような役割を果たしてますか?

アーティストにとって一番大事なことは、自分自身の言語を使う、つまりアイディアを一番真摯な方法で表現することだと考えています。私にとって、音楽や音響というものが、イメージを創造し、私がみなさんと共有したいメッセージを一番自然に表現できる「道具」なのです。

お父さんは中国人で、お母さんはイギリス人。そして、スーメイさんご自身は、ルクセンブルグで生まれ、ルクセンブルグやフランスで生活されています。文化的、国民的アイデンティティが複雑に絡み合っていることは、作品にどのように影響されているのでしょう?また、そのアイデンティティが多様であることをどう思いますか?

少し前にも言ったように、アーティストにとって大事なことは、自分のそして自然な言語を使うということです。音楽や教育の経験、あるいは多文化的バックグランドを私が利用するのも、その一部ですし、私の作品のテーマとしても使われています。

『そこから立ち現れる禅のスピリットは、彼女が「典型的なアジア人」アーティストではないことを示すのに十分である。彼女のユーラシアンなバックグランドを通して、彼女は、彼女の持つ2つの文化の中で、通常はクリシェ(決まり文句)として通ってしまうものを揺さぶるために、常に方向転換し、屈折している。しかし、同時に彼女の作品は、ユーモアと新鮮さと詩にあふれている。』

私は、見る人たちに異なる見方を与えたいです。物事がひとつの見方だけでしか理解されなかったら、面白くないと思います。間で揺れ動くことや対立が、作品の異なるレベルの解釈をもたらしますし、異なる存在にしていきます。

『アーティストにとって、同じひとつの作品のなかで異なる解釈が同時に存在することができ、見る者はそれぞれの文化や感覚、個人的な関係性に応じて作品を受け取ることができる。』

2006年に日本で開催された大地の芸術祭、越後妻有トリエンナーレでは、3人のアーティストとリレー展示を行ったそうですが、その様子について聞かせて頂けますか?

実際は、ニューヨーク在住の台湾人アーティストのリー・ミンウェイが、越後妻有アートトリエンナーレ2006に誘ってくれました。彼のプロジェクトは、村のなかで古い空家を探し、そこでレジデンシー・プロジェクトをするために改築し、他のアーティストを招いて作品を作らせるというものでした。私は、彼の滞在の後に2人目のアーティストとして招かれ、私はストックホルムで活動するスウェーデン・アーティストのアンナ・ダールを私の後に招待しました。

インスピレーションを受けているものについて教えていただけますか?

概して、私にとって日本はインスピレーションに溢れています。一方で、私は全く異なる文化や表現方法にとても驚き、魅了されます。同時に、その文化や美的感覚に個人的なつながりや親密さを感じます。私の日本に関する関心と知識は、川端康成の文学を読み始めたときから始まり、特に彼のいくつかの小説に感じられる時間や長さといった概念にインスピレーションを受けました。

来年2月7日から水戸芸術館で開催される個展について教えて下さい。どのような計画をされてますか?

私は、パートナーのジャンロー・マエラスと水戸芸術館を訪れて帰ってきたばかりです。展示について考えを練ったり、私のアート作品を実現するために、私たちは一緒になって制作しているのです。私たちは、一緒に契約したいくつかの共同作品を作っています。水戸では、私を招いてくれたシニア・キュレーターの浅井俊裕さんに会って、作品の選択やそのおもしろい組み合わせで展示する方法についてアイディアを交換しました。芸術館の空間はとてもおもしろくて、作品を通してとても良いリズムと道のりを与えてくれます。重要なのは、空間を感じて、空間とその空気と一緒になって制作することです。
これまでの作品の組み合わせに加えて、個展のためにいくつか新しい作品を制作します。

現在の活動と、今後の活動についてそれぞれ教えてください。

現在、フランスで2つの展示が行われていて、ひとつはアルザス現代アートセンターでフランス人アーティストのヴァージニー・ヤサフと「ヨーロッパのアート:ポメリーの経験ナンバー5」という展示をしています。もうひとつは、「西の風」という個展でアメリカのシアトルのアジア美術館で行われています。来月は、南条史生さんがディレクションするシンガポール・ビエンナーレに参加します。来年にむけて、去年レジデンスで滞在していたイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館のためのプロジェクトを準備中です。

ツェ・スーメイ展
会期:2009年2月7日〜5月10日
時間:9:30〜18:00(入場時間は17:30まで)月曜日休館
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
入場料:一般800円、中学生以下、65歳以上無料
TEL:029-227-8111
主催:財団法人水戸市芸術振興財団
http://www.arttowermito.or.jp

Text: Mariko Takei, Yurie Hatano
Translation: Takeshi Okahashi

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