ヴィト・デ・ヴィス

PLACE

アートファンにとって、ロッテルダムという街の名を聞けば思い浮かぶのが、やはりまずはブリューゲルの「バベルの塔」を所蔵するボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館だろう。しかしコンテンポラリーアートファンにとってはというと、マウリツィオ・カテランの上記の美術館でしか見ることのできないインスタレーションも捨てがたいが、どうしても行っておきたい場所といえば、1990年に開館されたヴィト・デ・ヴィスだ。

ヴィト・デ・ヴィス


首都のアムステルダムに続き、オランダ第二の都市であるロッテルダムは、世界有数の産業港でもある。1940年にドイツ軍によって焼け野原となったこの街は、オランダのビジネスの中心地として、また壊滅の後をもろともせず、興味深い現代建築の中心地としても復興した。それはマーストリヒトにも別館を持ち、世界有数の大衆にも開かれたオランダ建築研究所、通称「NAI」の存在でも明らかだ。

ヴィト・デ・ヴィス
Bruce Nauman, Seven Figures, 1984 Courtesy of Stedelijk Museum Collection, Amsterdam © Bob Goedewaagen and Witte de With

ヴィト・デ・ヴィスは元来の「美術館」という「美術品保存」を目的とするのではなく、ロッテルダムという都市のコンテキストに、コンテンポラリーアートとそのセオリーを取り込んで行くというコンセプトをもとにつくられた、言うならばアートセンターである。

ヴィト・デ・ヴィス

また、一階部分には1999年に開かれた「Tent」というヴィジュアルアートに焦点を充てた、1000平米もの展示スペースを持つ。この空間は、地域のアートをロッテルダムと言う街、そしてワールドワイドにまで拡げていく場として社会文化的作品を紹介する。
またその地域密着型の特性を活かし、ロッテルダム国際映画祭などの分野を超えたコラボレーションも行っている。

ヴィト・デ・ヴィス
Gareth Moore, We both step and do not step in the same rivers, with Heraclitean bench , 2008 © Bo Goedewaagen

ディレクターは基本的に6年ごとに就任する。1990年の開館から1995年まで務めたクリス・デルコンは、その後すぐボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館のディレクターに選任され、現在はミュンヘンのハウス・デル・クンストのディレクターとして活躍している。後任のバルトメユ・マリは、現在バルセロナ現代美術館のディレクターである。2002年から2004年にはフランスのポンピドゥーセンタージュー・ド・ポーム美術館の学芸員を経て、コンテンポラリーアート界を揺るがした1997年のドクメンタXのディレクターでもあったカトリーヌ・ダヴィッドをトップに、アラブ諸国のアーティストを数多く紹介し、現在の世界の現代美術展覧会の先駆け的存在として君臨した。
2006年にはニコラウス・シャーフハウゼンが就任した。彼は2007年のヴェネツィア・ビエンナーレのドイツ館キュレーターでもある。

ヴィト・デ・ヴィス
Liam Gillick, Three perspectives and a short scenario, 2008, Installation view Witte de With, Courtesy Liam Gillick, © Bob Goedewaagen

ヴィト・デ・ヴィスという名は、コンテンポラリーアートセンターだけではなく、センターが位置する通りの名でもある。ヴィト・デ・ヴィス通りは、現代美術を扱うギャラリーやロッテルダムの最先端を行くショップ、おしゃれなカフェ、バー、レストランなどが集中する通りであり、ロッテルダムにおける今日のアートやカルチャーの中心として発展し続けている。

Witte de With, center for contemporary art
住所:Witte de Withstraat 50, 3012 BR Rotterdam, The Netherlands
TEL:+31 (0)10 4110144
FAX:+31 (0)10 4117924
info@wdw.nl
http://www.wdw.nl

Text: Kana Sunayama

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