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マーキン・ヤン・マ

PEOPLEText: Aron Morel

彼は物語や脚本を書き、その中の登場人物の着る服をデザインし、それからそのデザインした服を着ている人物が登場する物語を映画にする。映画、写真、ファッション、イラスト、詩的な言葉たち。コンセプチュアルに遊び心たっぷりにこれらを駆使して作品を作るアーティスト。彼の名前は、マーキン・ヤン・マMakin Jan Ma2005年にリリースされた「Plans For Other Days」でのヤンファミリーの一員としての活躍は記憶に新しい。映画を中心にあらゆる手法を用いて彼の中に溢れているアイディアを表現し、発信する。その止まることのないアイディアの泉の源を探る旅にご案内する。

Makin Jan MaMakin Jan Ma
A/W 08 – Can I Come Inside?

はじめに自己紹介をお願いします。

香港の養鶏場で育ちました。僕の家族が養鶏場を経営していたので、小さい頃は何千ものニワトリの鳴声と共に毎朝目覚めていました。いつも木に登ったり、自転車に乗ったりしている、やんちゃな子供でした。グラフィックデザインを勉強しにロンドンへ渡ったのが19才の時。そこで初めて知ったのは、僕が香港から来ている友達みんなと同じような普通の生活を送っていなかったんだってこと。というのも、彼らは皆、高層マンションに住んでいて、木に登ったことなどないような暮らしをしていたからね。大学は、セントラル・セント・マーチンに進み、そこで自分自身のビジュアル・ランゲージを発展させていきました。毎日のように新しいことをして過ごし、新しい興味を発見する場所だったセント・マーチンは、何かを試す自由と何か間違いを起こす自由ということを教えてくれました。間違いを沢山起こすことで、僕独自のものの見方というものに自信が持てるようになり、大学卒業近くには、自分自身の表現を磨くのにもっと時間が欲しいなと気付いたので、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの修士課程に進むことに。そこで更に2年間、自分の作品を作ったり、いろいろ考えたりしました。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでの時間は、自分にとって、とても貴重なもので、ものごとをスローダウンしてより深く考えるということを教わりました。それから、誰かとクリエイティビティをシェアしたり、生活をシェアしたりという、分かち合うことの美しさについても学びました。

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Tough Love – Jeans Collection, Photo: Jez Tozer

最近の活動やプロジェクトを教えてください。

「CAN I COME INSIDE?」という今シーズン用の3分間ショート・フィルムを撮影し終えたところです。楽しかったけど、外で撮影するのにロンドンの天気には困らされましたね。全ての撮影をエピング・フォレストという、木々に囲まれた、とても美しい場所で行いました。そこは街から遠くとても静かなところで、撮影していると田園地方を散歩しているような気分になって、とてもエキサイティングな体験でした。

それから、新作のデニム・コレクション「TOUGH LOVE」の準備に忙しかったです。「愛することに疲れちゃった(Loving you wears me out)」というのがこのプロジェクトの始まりで、誰かを全面的に愛する時には、その愛の重さに受けて立つような勇敢さがないといけない。愛はいつも甘いものではない。愛を貫くのは困難だ。今回、写真家のジェズ・トーザーと撮影を終えたばかりなんです。写真撮影はとても楽しかったけど、体力を消耗するようなボクシングの日々が続きました。

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Flats & Sharps – Accessories by Makin Jan Ma

新ラインとなるアクセサリー「Flats & Sharps」も展開しています。「Flats & Sharps(フラット&シャープ)」は、ビンテージピアノの黒い鍵盤の部分を示しています。ビンテージピアノでは、黒い鍵盤はとても固い特殊な木の黒檀からできていて、白い鍵盤は象牙からできています。このコレクションのアクセサリーも黒檀と金属からできています。「Rock For A Better Future(より良い未来の為にロックしよう)」という一文がアクセサリーの内側に刻んであります。このラインは、すこしロックっぽい感じなので、ロックと自然の調和を意図してみました。より良い未来の為にロックする時がきた。これは僕が初めて手がけたアクセサリー・コレクションで、作品を作る工場とは密に作業しています。角度やカーブの感触や自分のもつ感覚で形を作っていくことなど、触れて形成していく感じがすごく楽しい。

また、現在は新作となる2009年春夏コレクションの映像用にストーリーを書いたり、プリントを作ったりしています。今のところ分かっているのは、ウクレレを上手に弾ける人物が登場します。光に敏感なプリント生地のデザインもしています。前回のコレクションから更に「形」にこだわってます。お楽しみに!

他には、展覧会の計画を立てたり、場所や日程のプランを立てたり、いろんな考えをまとめています。

そういった最近の活動の中でも最優先課題は、カンフーの一種「詠春(ウィンチュン)」を習うこと。ロンドンでトレーニングを始めたので、まだ初心者なんだけど、とても楽しんでいるし、集中するということに役立っています。

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