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第5回 ベルリン・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

「When things cast no shadow(もし何も陰をささなければ)」と題して第5回目となるベルリン・ビエンナーレが、2008年4月5日に開幕した。

今回は、選ばれし若きキュレーター、アダム・シムジックと彼のパートナー、エレナ・フィリポヴィッチによりオーガナイズされた。彼らによればこのビエンナーレは、若きアーティスト達による展覧会であり、特定の場所を明確に鑑みて、ベルリンにまつわる決まり文句から距離を置いたコンセプトを立て、実現しているという。またこのビエンナーレは展示である「昼の部」と月曜日を除いた会期末までの毎晩に開催されるイベント「夜の部」で構成される。

第5回目ベルリン・ビエンナーレ

まずは昼の部、つまり今回のビエンナーレの展示から目を向けていこう。
今回は50のアーティストが参加しており、展示会場は4つに分かれている。

KWは、ベルリン・ビエンナーレの運営母体としての組織のみならず、コレクションを持たずして優れた企画展をみせる場所として、もはやベルリン・アートシーンを語る上での代名詞的存在となっている。そしてこのビエンナーレを鑑賞するにあたって、チケット等を手に入れる開始地点となっている。

第5回目ベルリン・ビエンナーレ
Body-Garden, Desperado, Eureko, Magneto, Muse-One, Pianola, Urbanus, Cezary Bodzianowski, 2008

会場に入るとチケットカウンター脇に、壁一面に広がるベルリン市街の地図といくつかのモニターが目に入る。セザリ・ボジアノウスキが街頭で行ったパフォーマンスの様子を地図に関連させてビデオで展示している。

第5回目ベルリン・ビエンナーレ
Ground Control, Ahmet Ogut, 2007/2008

受付をすませ、奥に入ると何もない大きなホールが目につく。普段のKWの展示を見慣れているものにとってここは展覧会を大きく印象づける戦略的な場所であり、「何もない空間」で有ることは肩すかしに他ならないのだが、足を踏み入れてみると飛び散る光のせいで落ちる陰が薄いことに気づく。そのホールの片隅にアーメット・オェーユト「400 sqm」というキャプションを見つける。現象としては、今回のビエンナーレのタイトルよりインスピレーションを受けた作品であるかのように見える。

第5回目ベルリン・ビエンナーレ
Soft City, Pushwagner, 1969–75

この大きなホールを介して、地上階脇にはスペクタクル社会を戯画化したプッシュワグナーという70年代に活躍したノルウェーの漫画家による原画の展示、ジョー・ド・グルテとハラル・ティの映像が印象的だった。

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