ロニ・ホーン展

HAPPENING

ハウザー&ワースへ入ったときの最初の印象としては、二枚ずつ対になっている絵が男根を象徴し、何か模様のような抽象的な絵を思わせるのだが、近づいてみると、細部にまで細かく描かれた奇妙にユーモラスな描写により、それが何であるのかが分かってくる。そこに写っているのは、野鳥の後頭部を撮影した一連の写真である。

これらの写真は、方法としては一般的なフォーマットを使用、白背景に近距離で撮影されたものだ。ここでは写真という媒体が、正確な詳細を記録するものとしての役割を果たしているのだが、それでも少しだけだが、写っているものが部分的であることにより、作品全体に何とも捉え難い曖昧さを残しているため、被写体を「ポートレートする」役割も果たしている。

Roni Horn
H&W, Roni Horn, Untitled#2, 1999
© Hauser & Wirth Zürich London


ロニー・ホーンは、長年アイスランド的なものに興味をもっており、それらに影響を受けていること、そして二点が隣り合わせに並べられているということも含め、彼女の特徴的な部分が多く作品に現れている。彼女が重要視している、鑑賞者、鑑賞されるスペース、そして作品の内容との関係がここではさらに反復されているのだ。

一点ごとに展示されているのだが、二点対で並べられていることにより、鳥類が共通に持っている特徴を観察することができ、個別に持つ特徴なども判別できる。写真や絵を二つ並べる見せ方は、ホーンの作品にはよく見られるもので、本人は「同一性体験」と呼んでいて、それぞれの感覚は、場所や時によって形成されるという考えだ。それぞれの対になったこれらの作品は、違う種類の水鳥を撮ったものなのだが、鳥たちの同一性が強く存在しているため、二重性がさらに強調されている。

Roni Horn
H&W, Roni Horn, Untitled#4, 1998
© Hauser & Wirth Zürich London

おそらく偶然の結果なのであろうが、この作品には人間や自然界が映し出されている。傍観者の視点でこの展示を見た場合、その二重性や頭の後ろ側を捉えるのだが、この場合は、人間が自然界の面影をまねているのである。

写真と共に、ホーンは立体作品も展示している。
『ブルー・オン・ブルー』は、ほぼ同一の長方形のガラスの固体がふたつが並んでいる作品で、以前ホーンが制作していたガラスの作品を思い起こさせる。それについて彼女はこうコメントする:

「これは、発掘されたガラスではありません。これは、こういう形になるために型に流し込まれて作られた形で、実際の形ではないのです。言うなれば、これは固体にするために冷却された液状の素材なのです。ですから、上の表面は、側面と同じくらい人工産物であり、全てでひとつなのです。」

Roni Horn
H&W, Roni Horn, Untitled#10, 2000
© Hauser & Wirth Zürich London

さらにホーンは語る。

「青の体験は、他の色とは違い、いつも私達の中にすでに半分存在します。ですから、これは、鏡であり窓であるのです。この窓には、青の風景がある。この鏡はあなた自身の青を写すのです。」

この展覧会は4月12日まで開催され、展覧会カタログ『Roni Horn. Bird』が、本展のキュレーターである、フィリップ・ララット・スミスによるエッセイと共にSTEIDLとハウザー&ワースにより出版されている。

ロニ・ホーン展
会期:2008年3月5日-4月12日
会場:ハウザー&ワース・コルナギ
住所:15 Old Bond Street, London, W1S 1AX, UK
TEL:+44 207 3999 770
www.hauserwirth.com

Text: Aron Mörel
Translation: Haruka Kibata

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