ディア・アート・センター

PLACEText: Rei Inamoto

チェルシーにあるディア・アート・センターに行く度にそうなのだが、私は常にその凝縮された質の高い作品の展示方法に感銘を受ける。現在展示を行っているのは、ブルース・ナウマン、ロニ・ホーン、ダン・フラヴィン等の巨匠達の作品だ。ディア・センターと、他のニューヨーク市内の美術館との違いは何かと言えば、それが持つ許容範囲の広さと、インスタレーションアートに対する献身さであろう。


Jorge Pardo and Gilberto Zorio, Reverb, Installation view

今回のメインとなる展示物は、ホルヘ・パルドとジルベルト・ゾリオによる「リバーブ」というインスタレーションの作品だ。実際のところこの作品は、2つの別々のものから成り、2人のアーティストにより作られたものだ。パルドのアイディアにより、空間全体が鮮やかなライム、レモン、その他のシトラス系の色のパレットがタイルとなって床一面に広がっている。また、オレンジ色のカーテンが天井からかけられており、それによって空間が区切られているのだ。様々な箇所で見つけることのできるマイクは、ビジターの声を拾う。このゾリオのサウンドインスタレーション「マイクロフォーニ」(1969年)では、これらのマイクから拾われた音は巧みに処理され、その結果、拡張され、数秒後にはリピートされるのものだ。


Roni Horn, Clowd and Cloun, Installation view

2階にあるギャラリーでは、ロニ・ホーンの写真と彫刻作品が展示されている。これらの作品の全ては、一つの方向性、あるいは別の方向性における並列、相違、アイデンティティーというテーマを持っている。ビジュアル的に最も印象的なのは、「Clowd and Cloun」(「Cloud and Clown」の逆)という作品。これは雲(Cloud)を撮影した写真なのだが、同時に道化師(Clown)も一緒に並列で展示されている。これは、アーティストが題材だけではなく、作品の展示方法にも疑問を問いかけている作品だ。


Bruce Nauman, Mapping the Studio, Installation view

もう一つの部屋ではブルース・ナウマンのビデオ作品が展示されている。彼はおそらく、今日のアメリカ人アーティストの中で最も有名なアーティストであろう。彼のスタジオに夜用の監視カメラを設置し、夜の間に発生する出来事を録画するというこの作品「マッピング・ザ・スタジオ」は、7本のビデオ作品からなり、ギャラリーの壁に映し出されている。この映写からは、例えばねずみがチョロチョロする、といった様な彼のスタジオ内で発生する微妙な動きさえも見つけることはできない。そしてこれこそがまさに、5時間以上にも及ぶ時間の中で発生したことなのだ。ナウマンは、このビデオを瞑想の術として見続けたという。

ニューヨーク市のアートシーンの主流は最近、低迷しているように思われる。ホイットニー美術館の「ホイットニー・ビエンナーレ」は、次のような厳しい批判を受けた。『ニューヨーク近代美術館は改装工事のため閉鎖され、その数年間クイーンズに移転される。ディア・センターなどのかませ犬的な施設は、観光客がいないだけで、小さいながらもアートスポットとしては強力だ。そして、私はそれがこのままの状態であり続けることを願っています。』

DIA Center for the Arts
開館時間:12:00〜18:00(月・火曜日休館)
住所:548 West 22nd Street, New York, NY 10011
TEL: +1 212 989 5566
info@diacenter.org
https://www.diacenter.org

Text: Rei Inamoto
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Rei Inamoto

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