アンティアン

PEOPLEText: Gudrun Rau

夏と言えば、何を思い浮かべるだろう?まだ空気が冷たく新鮮な早朝を思い浮かべる?それとも、ギラギラした海を眺めながら日陰でくつろぐことしかできないくらいに熱い午後?

ベルリンのファッションレーベル、アンティアンによる今年の春夏コレクション「ホワイトキャップス」は、ある海辺の日が呼び起こす感情と情景に基づいている。ステージとムードの変化による潮の差し引きがそこにはあり、天国のような色と揺らぎ、また、日の出や夜ふけ、昼間の熱、午後、夕方、日の入りなどが、清々しいプリントのインスピレーションとして用いられている。コレクション全体が自然界に沿って進行し、カモフラージュの印象を伝えるプリントも同様、全ては雄弁で、波立っておらず、むしろ静かな傾向にある。全ての衣服が同じアイディア、特に自然界に従うというアイディアに由来しており、均一性を放つのだった。

アンティアン
“Whitecaps”, Spring/Summer 2008

アンティアンのデザイナー、アン・へルケンとクリスチャン・カートは、このコレクションのコンセプチャルな起源を強調する。

Anntian
“Whitecaps” sandals, Spring/Summer 2008

まず、テーマ。色、感触、ムード、全ての感覚認識を伴う状況のアイディアだ。このテーマに沿って、彼らはこの世界に適合するシルエットについて考えはじめる。次に衣服のパターン。例えばこのコレクション「ホワイトキャップス」の場合は、石の形に基づいて展開された。広くて、丸みがあって、波状で。チームのファッションデザイナー、クリスチャンは、これらのユニークな形を構成する。

アンティアン
“The Box” cushion, Autumn/Winter 2008-2009

一方で、グラフィックデザイナーのアンは、主題に相応しいビジュアル言語を発展させる。テーマの雰囲気を支えるテクスチャーとパターンを考え、それらの構造を成し遂げるための新しい方法を追求する。彼女はシルクスクリーンの印刷機で、あなたも小学校で経験があるであろうマーブル模様や縁取りなどのテクニックを、何度も何度も実験する。また、彼らのアクセサリーの多くは、幼い頃の鮮明な記憶を呼び起こすものだ。樹脂でできたハート型のチャーム、マーブルのビーチサンダルに、シールスタンプ加工のブローチ。彼らがハンドクラフトのプリントにも、アクセサリーにも、また、予想をいい意味で裏切る単調でないパターンにも、細部にまで気を使っていることが見て取れる。当然、素材や制作の品質は、本物のでき映えを示す。

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