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しずおか コンテンツ バレー・フェスティバル 2008

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

近年、浜松で新しい映画祭ができたり、松井冬子福井利佐稲葉英樹など静岡出身のクリエイターの活躍も目立つ。なかでも、今年で三回目を迎える、しずおかコンテンツバレー・フェスティバル(SCVF)は、映像作品を中心としてプロダクト、グラフィックなどを紹介する国際色が強いフェスティバルとして評価が高い。

SCVF 2008
Michael Young, Sumpu Castle Gate, Shizuoka. Photo: Takahiro Inoue

『静岡にいるとどうしても世界レベルのアートやデザインに触れる機会が少ない。本物を知ることで、地元のクリエーターが刺激されて多くの若い人材が育ってくれることを願っています。まずは、ものやコミュニケーションを通して、自らの生活の中でアートやデザインというものを少しずつ意識していってほしいと思います。かなり時間はかかると思いますが、ここに眠っている歴史や文化を揺り起こし、ゆくゆくは静岡を世界へ向けたクリエイティブシティーにしたいですね』とキュレーターの大森久美は意気込む。

2月15日から17日にかけての3日間、述べ4000人の観客を動員した今回のSCVF。今年から、元小学校をリノベーションした静岡市クリエーター支援センター (CCC) という拠点を得た。東京の世田谷ものづくり学校 (IID) など、学校を再利用して文化施設にすることはよくあるが、今回のイベントでも『アートやデザインに全く興味がなかったおじいちゃんが、その小学校の卒業生ということでボランティアをしてくれた。』と世代を超えて文化に触れるキッカケとなっていた。イベントは大きく分けるとセミナーと展示スペース2つから構成されており、地元学生の作品やセミナーのプレゼンター、CCCにスタジオを構える入居クリエイターの作品も展示されていた。

SCVF 2008
Michael Young

参加したのは、16日と17日の2日間。最初に見たのはマイケル・ヤングの「ブランド開発とデザイン」というセミナーで、マイケルは自分が過去に手がけた4つのプロジェクトを例に説明をした。デザインをする際はその商品のマーケティングやPRについても考えなくてはいけないし、実際にマーケットの拡大に繋がる商品にするための戦略と、単に広告を打つだけではない効果的なPRの方法についても併せて提示することが必要となる。デザインとは表装的なものではなく、もっとビジネスに直結したものだという持論を展開した。

『デザインとは企業が進化することを手助けする手段』と言い切る彼は、もはや単なる一デザイナーではなく、デザインを用いるコンサルタントという表現の方が正しいかもしれない。理論に裏打ちされた彼のデザインポリシーは、これからのビジネスにおけるデザイナーの存在意義を強く訴える。確かな技術をもった地元の地域産業と一流のデザイナーが出会うことで、世界へ向けた新しい商品を生み出そうという「SCVマッチングプロジェクト」。過去には、マイケル・ヤングが家具のシリーズを作ったり、フィリップ・オドワイヤー(UK)もSCVが運営するウェブサイト「ICN」をこのプロジェクトで手がけた。

SCVF 2008
ChilliChilly

今回のテーマは「キッズ・コーナー」、選ばれたのは、ユーモアや笑いをテーマにしてもの作りをしているタイのプロパガンダ、ストーリーとしかけのあるデザインを信条とする香港のデザインユニット「ChilliChilly」(チリチリ)、そしてアジア文化から得たインスピレーションをミニマムでシンプルな作品として表現するサミラ・ブーン。この3組と地元の照明器具メーカーと子供用品をつくる会社の2社がタッグを組む。今回、残念ながらまだプロジェクトが終了しておらず、製品をみることが叶わなかった。でき上がりが楽しみである。

SCVF 2008
FuriFuri Company

「カワイイー」が世界に浸透しつつある昨今、そのカワイイ文化を代表するものを次々に生み出しているのが、程亮弼(ていりょうすけ)がクリエイティブディレクターを務めるデザイン会社フリフリカンパニー。元々は現代美術作家として活動していたというテイ氏が自らの生い立ちと経験を通して、デザイン業界で生き残ることの厳しさと、キャラクタービジネスにおける著作権の難しさについて語った。

『ただ絵が好きなだけの奴はデザイナーになるな!デザインはサービス業、楽しんでもらえない伝わらないデザインは意味が無い』。テイの率直で厳しいながらも愛のあるプレゼンテーションに感化された会場の学生からは『入社したいんですけれどもどうすれば?』という質問も。白熱したプレゼンテーションとなった。

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