キャサリン・ヤス展

HAPPENINGText: Aron Morel

アリソン・ジャックギャラリーでは、2002年のターナー賞にノミネートしたキャサリン・ヤスの2作品を取り上げている。

Catherine Yass' exhibition
Catherine Yass, Sign: For the Good of the People (army, build), 2007

規模の大きな中国の三峡ダムプロジェクトに焦点を当てたビデオ作品。それは向かい合った2つの壁に投影され、訪れる者を巨大な放水路の水門とそびえ立つコンクリートの壁で挟み込む。

Catherine Yass' exhibition
Catherine Yass, Lock (columns), 2007

この2つのビデオは貨物船の上から至極淡々と撮影されたもので、船の船首や船尾を垣間みることができる。船が前進すると同時に、規格外れな水門の壁に閉じ込められて行き、ほとんど動くことをせずに、ただただ立ち塞がる2つの扉、巨大な構造物を眼前に突きつけられる。

Catherine Yass' exhibition
Catherine Yass, Lock (opening), 2007

水門への入り口と出口はほとんど区別が不可能であり、それは自然界の理や発展の行方といった問いを投げかけてくる。映像自体はカメラのゲートさえも閉じられてしまったかの様で、まるで静止画のように思われる。過去と未来は消し飛ばされ、未解決な現在で時は歩みを止める。船は移り変わる下界の不在した空間と時の中で浮遊し、未知な未来であろうとも、静かに開かれていく扉に安堵の感を覚えるまで閉所恐怖症の感覚に陥らされる。

Catherine Yass' exhibition
Catherine Yass, Lock, 2006

このビデオ作品とは対照的に、2つ目の展示では多少モメンタムに欠けている。4つのイメージ、再び三峡ダムプロジェクトのものであるが、その広大さや映像での力に当惑しているように感じさせる。さらに言えば、そのメッセージ性に関してデジタル加工の使用は不適切であったのではないか。

ギャラリーでは、1月26日にレイチェル・ウィザーズによるトークショーを予定し、2月13日にはアーティストとの対談を企画している。詳細はギャラリーのウェブサイトを参照。

Catherine Yass exhibition
会期:2008年1月16日~2月23日
会場:Alison Jacques Gallery
住所:16-18 Berner Street, London W1T 3LN
TEL:+44 (0)20 7631 4720
https://www.alisonjacquesgallery.com

Text: Aron Morel
Translation: Yoshitaka Futakawa
Photos: Courtesy of Alison Jacques Gallery © Catherine Yass

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