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ジャック=アンリ・ラルティーグ 写真展「穏やかな日々 」

HAPPENINGText: Ania Markham

現代の写真に夢中な私たちにとって、昔の写真を概観するのは簡単なことである。私は20世紀前半に始まる、観察的な実生活の像に魅了されている。そして、その過ぎ去りし時代のかすかな光景を私たちに見せてくれる、最も興味深い写真家の一人がジャック=アンリ・ラルティーグ(1894-1986)なのである。


Jacques Henri Lartigue, Vera & Arlette, Cannes, 1927 © Ministere de la Culture, France/A.A.J.H.L

今月、アムステルダムの、HUGギャラリーでは、ラルティーグの写真展を開催している。本当に一見の価値ありである。独学で写真家となった彼は、6歳のときに父のカメラを借りて写真を撮ることを始めた。周囲の世界に彼は魅了され、それが写真に捉えられている。そして彼は、「生涯の日記」、彼の家族を記録するもの、子供の頃の体験、車や航空の始まり、さらにはフランスで彼が育った地域の美人として一番良く表されているものを探し始めた。

1915年に彼はアカデミー・ジュリアンに通い始め、画家のコースを選択し、パリや南フランスのサロンで展示会を開き、ピカソやコクトーの作品のようなものを混ぜ合わせた。それは映画に対する彼の情熱であったのだが、時折り報道機関に写真を売ったりしながら写真家としての仕事を続け、ブラッサイ、マン・レイ、ロベール・ドアノーの作品と並んでオルセー美術館に展示されるきっかけになった。


Jacques Henri Lartigue, Cap d’Antibes, 1932 © Ministere de la Culture, France/A.A.J.H.L

彼の写真家としての名声が真に広まり始めるのは、69歳の時、1963年にニューヨーク現代美術館でラルティーグ回顧展が開かれてからである。彼は作品集を発刊し、そしてパリ装飾美術館で開催されたフランスで初めての彼の回顧展は70年代中頃まで続いた。1986年にとうとう92歳でニースにて亡くなるまで、ファッション誌のための仕事をし続け、80年代のラルティーグはずっと多忙であった。


Jacques Henri Lartigue, Danielle Darrieux, Eden Roc, 1941 © Ministere de la Culture, France/A.A.J.H.L

ラルティーグの作品について私が本当に好きな部分はというと、それは彼の周囲の撮るもの全てにある、彼の広範に渡る観察と、明白で飾り気の無い正直さである。みなさんはこの男が彼自身のため、自身の満足のために写真を撮っているのだ、という印象を受けるだろう。彼の作品の多くはまさに魅惑的で、そのような明快さで撮られている。写真の「古めかしさ」というよりはむしろ撮られたその状況の厳密さが見て取れることだろう。

私は、写真は過去の瞬間を捉えていて、私たちは心に封じ込められた特定の時間と場所を見つめることができる、と考えると、未だに非常に驚嘆すべきことだと思う。ラルティーグの作品は、私が子供の頃からの写真の山を思い起こさせ、私はどうして人々と場所を記録する必要があるのだろう、という疑問を私に投げかける。そして、どのようにしたら、私たちの個人的な写真は思い出の直接的な源であることを止め、単に作品となり始めるのだろうか?

ぜひラルティーグの展示を見て欲しい。一見の価値ありだ。

Jacques Henri Lartigue “Halcyon Days”
会期:2005年9月17日(土)〜10月22日(土)
会場:Hug – Gallery for International Photography
住所:16 Eerste Tuindwar, 1015 RV Amsterdam
TEL:+31 (0)20 489 4042
info@hughug.info
https://www.hughug.info

Text: Ania Markham
Translation: Yuhei Kikuchi
Photos: Courtesy of Hug - Gallery for International Photography © Jacques Henri Lartigue, Ministere de la Culture, France/A.A.J.H.L

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