第5回リスボン国際ドキュメンタリー映画祭

HAPPENING

今年で5回目を迎えるリスボン国際ドキュメンタリー映画祭「Doclisboa」。まだ回数は浅いがヨーロッパで注目すべき映画祭のひとつである。


メイン会場となる「カルチャーゲスト」は巨大な銀行のなかにあり、そのなかに600席の劇場のほかゲストとのミーティングを行うスペースや事務局がある。また、そのほかにも市内の映画館が会場となっており、10月18日から28日まで数多くの作品が上映された。深夜1時近くに終わる上映もあるが、連日のプログラムに多くの人々が集まっている。

リスボン国際ドキュメンタリー映画祭

ポルトガルのドキュメンタリー映画といえば、日本では「ヴァンダの部屋」で有名なペドロ・コスタ監督が思い出される。しかし、ディレクターのアナ・イサベル・サントス・ストリンドバーグによれば、ポルトガルでも人々がドキュメンタリー映画を見る機会は少なく、世界中どこでも同じように、街中の映画館ではアメリカ映画(ハリウッドの娯楽映画)が中心のようである。
それだけに、この映画祭で上映される作品には注目が集まっており、折しもEU会議でロシアのプーチン大統領が来訪している時に彼のことにも言及する、ややスパイ映画めいた作品が上映され、翌日の新聞紙面がその話題で埋め尽くされたりしていた。

リスボン国際ドキュメンタリー映画祭

プログラムは、インターナショナルコンペティションのほか、ナショナルコンペティション(ポルトガル国内の作品によるコンペ)や、「Film Diaries and Self Portraits」と題された、日本で言う「セルフドキュメンタリー」に近い作品群の特集が組まれている。
なお、昨年は日本の作家の特集が組まれ、河瀬直美や故・佐藤真の作品が紹介されていたが、今回はコンペティションをふくめ日本およびアジアの作品は少ない。だが、ヨーロッパ各国を中心にさまざまなバラエティに富んだ作品が集まっており、見る者を飽きさせない10日間となっている。

多くの作品が上映されるため、そのすべてを見ることはかなわないが、上述の特集に限らず、作家の家族や作家自身の生活や歴史にカメラを向けたセルフドキュメンタリー的なものが多かったように感じた。
ショートフィルムでもプロダクションがついて制作していることが多いヨーロッパも、ビデオカメラなど各種のデジタル・テクノロジーの進歩が、この10年、よりパーソナルな主題を、パーソナルに制作できることになった影響なのかもしれない。
ちなみに、この映画祭のスポンサーのひとつはソニーであり、いくつかのワークショップも開かれていた。

リスボン国際ドキュメンタリー映画祭

ところで、このレポートを書いている私は、リスボンを訪れるのはもちろんのこと、この映画祭に参加するのもはじめてである。しかし、先にあげたペドロ・コスタの特集をした「SENDAI」から来たというと歓迎され、そしてまた次に出てくるのが「YAMAGATA」の名前である。
ドキュメンタリー映画の世界では「YAMAGATA」= 山形国際ドキュメンタリー映画祭の知名度が高いかを知ることになるとともに、映画が国境を越えるというありきたりな台詞をあらためて思い出した。

第5回リスボン国際ドキュメンタリー映画祭
Doclisboa 2007

会期:2007年10月18日〜28日
会場:カルチャーゲスト、ポルトガル・リスボン
http://www.doclisboa.org

Text and photos: Naoto Ogawa (Sendai Mediatheque)

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