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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

THINGSText: Shinichi Ishikawa

クリエイターにとって、広く世に出た作品をもう一度作り直して発表するチャンスは滅多にあるものではない。今回紹介するの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は「REBUILD」(再構築)と名付けられた10年ぶりの二度目の劇場映画作品。当初、噂を聞いた時は、ちょっと信じられなかった。こういった形の“リビルド”は日本のアニメ史上初めてではないだろうか。

Evangelion Rebuild
© カラー・GAINAX

新世紀エヴァンゲリオンは1995年にTVシリーズ(全26話)として放映されたSFロボットアニメ。その新しいスタイル、キャラクター魅力によって、一大ブームとなった。ストーリーは主人公の少年は父親の開発した一種のロボット「汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン」(以下エヴァ)の操縦者に選ばれ、否応なく「使徒」と呼ばれる侵略者と仲間と共に戦うこととなる。

Evangelion Rebuild
© カラー・GAINAX

こう書くと設定は昔ながらのロボットアニメの基本なものなのだけど、同系統のパイオニアともいえる作品「機動戦士ガンダム」とは異なる、エヴァの「人造人間」と呼ばれる生物的なデザイン、未来が舞台ながら、日常のシーンには現代とほぼ同じなコンビニ等が登場する親しみやすさ、表面的には平和を守る防衛組織「ネルフ」の裏に持つ「人類補完計画」というミステリアスな計画の存在。主人公と父親との葛藤によって表現される現代風の不器用さを持つ主人公の性格。これらの新しい要素があわさって共感を呼び爆発的なブームとなったと思う。当時の人気は大変なものでアニメ誌だけではなく「Quick Japan」「Studio Voice」のようなアート・カルチャー誌にも特集された。このシフトでも何度か記事になっている。

TVシリーズの人気に応えて、劇場作品が1999年より2作作られ、これらも大ヒット。そして、今回の10年ぶりに再度の劇場作品とは、どういった作品になるのか。僕は興味津々で上映に望んだ。

今回1作目の内容は、TV版をベースにしつつ、第1話『使徒、襲来』から第6話の『決戦、第三新東京市』における傑作エピソード「ヤシマ作戦」をラストに持ってきて、戦闘アクションにしても、主人公のドラマとしてもドラマテックなラストが用意され本作だけを観ても満足のできる作品だ。

Evangelion Rebuild
© カラー・GAINAX

全体的な印象は、当然TV版をそのまま再現しては尺が収まらないから、時間を短縮し、そこで無理が出ないように内容を変更、アレンジをしている。CGも自然な感じで他のパートとマッチしている。ドラマパートでは、シーンによっては思いっきり整理されていて、結果、とっても観やすい作品になっている。本作はファン向けというよりも、初めて本作品を体験する人にも十分楽しめる作品ではないかなと僕は思った。

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