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テリエ・イースングセット アイスコンサート

HAPPENINGText: Yurie Hatano

『風が吹いたら中止』という最もデリケートなコンサート。それはとても静かだった。というよりはまず、静かでなければならなかった。開演時間が近づくと、『お静かに』というボードを持ったスタッフが歩き回り、それを伝えるアナウンスが流れる。『手袋を外す音も拾ってしまう』という場内では、携帯電話はもちろんのこと、演奏時間の40分はステージエリアでの移動をも制限された。観客は息をひそめ、ここに日本で初めて公開される氷が奏でる音に耳を傾けた。

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足踏みをするテリエから、ザクザクという低くて乾いたビートが響いて演奏はスタート。アルヴェの高温のボイスとアイストランペットが呼応し、寒さに縮こまりながら静かに見守る観客と、クリアなステージに反射するライトのコラボレーションで、幻想的な40分間が作り上げられる。

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当初は一体どんなテリエのパーカッションテクニックが披露されるのだろうと注目したが、パフォーマンス自体はとてもとてもシンプルなものだった。それが様々な種類の繊細な氷の音や、生まれる全体の空気感をとても自然に生かしていて、よかった。また印象的だったのは、氷のドラムの幅のあるやわらかい意外な音。

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制作2日間で創られた楽器は、トランペットからバスドラムまで、マウスピース以外の全てが氷。ノルウェーではマイナス30度以下の気温の中でも行われ、気温は低ければ低いほど良い条件で良い音が出るという。彼らにとっては少し暖かすぎるかもしれない今年の支笏湖の冬に、しかしこの条件下のこの一瞬でしか成し得ない時間が流れた。

『演奏は披露するのではなく、来場者や周りの環境と一緒につくりあげるもの。』これを全てのライブパフォーマンスの一瞬一瞬に通じる言葉だと思っているが、冬の自然が生む繊細な音に、それが最も静かに強調されたコンサートだった。

TERJE ISUNGSET ICE CONCERT
日時:2007年2月16日、27日
時間:19:00〜
会場:第29回千歳・支笏湖氷濤まつり会場 特設ステージ
主催:支笏湖まちづくり機構Neoステージ
後援:ノルウェー王国大使館、千歳市、千歳市教育委員会
協力:支笏湖まつり実行委員会、Office Ohsawa
https://isung.no

Text: Yurie Hatano
Photos: Hiroshi Kotake

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