野外美術館 かんじきウォーク

HAPPENINGText: Shinichi Ishikawa

札幌は2月が一番寒さが厳しい。同時にイベントの多い月だともいえる。雪像を楽しむ「さっぽろ雪祭」や、世界のスノーボーダーが集う「トヨタ・ビッグエアー」も今月である。その中でアートに関するスローライフなイベントをひとつ紹介しよう。今まで本コーナーでも何回か紹介してきた市内最大のアート施設、札幌芸術の森。自然の地形を生かしたその地形は広大で、室内ギャラリーのほかに、野外美術館もある。そこは自然の地形を生かしたままの広範囲な敷地に彫刻などのアーティストのオブジェが74点展示されている。冬期間になると雪が厚く積もるため、原則閉鎖となる。しかし、そこを「かんじき」という昔から伝わる器具を使って散策をしてみようという企画が現在開催中の「かんじきウォーク」である。

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「かんじき」というのは昔からある雪道にはまらいための器具。木製で縄がついていて長靴につけて使用する。体重を分散することによって、長ぐつだけだと沈み込んでしまうような雪道でも歩くことができる。かんじきウォークでは、「かんじき」と「長靴」は無料で貸し出していて、雪に覆われた野外美術館を歩くのを楽しめる。本来、野外美術館の入場は有料だが、かんじきウォークの期間は無料で入場することができる。

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利用の仕方をガイドしよう。野外美術館入口にある芸術の森センターに入ってすぐの売店のところにかんじきがつるしてある。利用希望者は、貸し出し簿に名前等を記入して、自由にかんじきを取る。窓際のほうにゴム長靴があるので、それも借りることができる。

かんじきのつけ方のガイド・プレートがあるので、それを見てつける。初めてだとこれを見ないとできないと思う。僕は不器用なのでつけるのに少し時間がかかった。かんじきをつけたら、建物を出て左手の野外美術館入口を目指そう。入口を抜けると雪の中に軽い道筋はできているので、新雪を歩く大変さはない。ただ、かんじきで歩くのは足取りが重く感じる。

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歩いているうちに本当にかんじきって意味があるのかな、と思って、かんじきをはずしてゴム長靴だけになってみた。すると、それまで沈まず歩けたところが、ずぼっと長靴の一番上ぎりぎりまで沈み込んだ。慣らされてない新雪のところを歩くともっと沈むに違いない。かんじきという先人の知恵を感じた。雪一面世界に樹木とともにある中のオブジェは、夏の緑の世界にある光景とは違って見える。

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かんじきウォークは、雪山登山のような軽い疲れを感じながらアート作品を鑑賞するというアート鑑賞とアウトドアを兼ねたようなユニーク体験であった。芸術の森に行って館内のギャラリーと共にかんじきウォークを楽しんでみてはどうだろうか。雪の中の芸術の魅力を感じてほしい。

かんじきウォーク
会期:冬季積雪期間
時間:9:45〜16:00(月曜日休園)
会場:芸術の森野外美術館
住所:札幌市南区芸術の森2丁目75
http://www.artpark.or.jp

Text: Shinichi Ishikawa
Photos: Shinichi Ishikawa

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