パブロ・ダカル

PEOPLEText: isella Lifchitz

パブロは今、彼のバンド、ラ・オーケストラ・デ・サロンと共に新しいアルバム「ザ・エイジ・オブ・サウンド」を手がけている最中。このオーケストラと共に作ってきた音楽のコンセプトは、ロックンロールの前のサウンド50〜60年代サウンドのレクリエイションである。彼は、ロックのメロディとハーモニーにある激しさを追求したかったのだ。

パブロは、この「ザ・エイジ・オブ・サウンド」が最後のアルバムになるだろうと言う。『もうこれ以上面白いアルバムのアイディアはないよ。前はこのことが悲しかったけど、今はむしろハッピーにさせてくれてる。これで凝り固まった構造から開放されて、独身時代に戻るような感じだと思っているよ。僕にとって、歌とはポケットに入れてどんなところにも連れて行くようなもの。音楽の理想的な形なんて全く決められていないからね。』

たとえパブロが自由な音楽の形を信じるとしても、彼と周囲の人々はすでに編集された3つのアルバムのレコードレーベルをつくりあげている。

パブロは幼い頃から自分が何を望むか知っていて、それを支持してきた。自己中心的でも利己的でもなく。シェアすることが好きで、いつもそうしてきた。ミュージシャンとしては変わっている。あらゆるリーダー達は遅かれ早かれバンドを離れて休むもの。パブロはその逆を進む。彼はバンドと共に復活し、他の仲間と共演し、それ以外では招いたり招かれたりする。それを彼はプロセスの一部として楽しんでいるのだ。

『一番好きなのはライブ。一人で演奏することも好きだし、バンドとリハーサルするのも好き。演奏の間ずっと一つの部屋に8人がこもっているというのもすごく楽しいよ。コンサートが好きなのは、歌と人の間に起こっていることを見ることができるという、コミュニケーションの瞬間に基づいているから。』

次のプロジェクトについて訪ねると、パブロは最近の旅について話してくれた。『田舎の方で小さな旅行をしたんだ。旅をして、そこに僕の歌を連れて行くのが本当に好きだよ。これから今年の末まではバンドとのショーが沢山ある。12月にはエル・ナシオナルのサン・テルモ・シアターで毎週のようにライブをするよ。それから次の11月にはコロンビアでアルバムが編集される予定だから、そこに行って演奏もしたい。』

ここでも、そこでもどこでも演奏。大観衆の前であろうが数人の前であろうが関係なく。パブロ・ダカルは歌っている最中に観客の顔を見るのが好きだ。『常に見ているよ。観客との関係を見つけようとして。』彼は近くの人達に日常の歌をささやく。そしてまだ子供らしさの残る顔でギターを取り、特別な一人一人にショーを届けていく。

Text: isella Lifchitz
Translation: Yurie Hatano

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE