ディーマ・コミッサロフ

PEOPLE

「デザイン」という言葉を口にした時、ロシアが思い浮かぶことはなかなかない。ディーマ・コミッサロフはそのイメージを変える。幼い頃から絵を描き、次第にデザイン界にひきつけられ、以来独自のスタイルで没頭し続けてきた彼は、「ダノン」、「MTVロシア」、ロシアの連邦宇宙局、国連組織などでその才能を発揮し、「アート・レベデフ・グループ」にてアート・ディレクターとして活躍後、現在は独自のスタジオを運営するデザイナーだ。最も注目されているのが、容量が増えるにつれて膨らむUSBメモりースティック「フラッシュバッグ」や数珠型のリモコン「リモビーズ」など、彼が提案する数々の興味深いプロダクトデザイン。今回ここでディーマ・コミッサロフは、それらの制作について、またデザイン界に対する考えについてを語る。


あなたのデザインに影響を与えるものは何ですか?

特定の学校だったり、トレンドに長い間居ついたことは特にありません。何でも勉強することは好きなのですが。でも、変えたいと思うものや、スタートから発明したいと思うものが、本当にたくさんあります。言うなればデザインは、周りを見ることなく独自のものを確立すべき分野と言えると思います。

デザインをはじめたきっかけは何ですか?

ロシアには、もっと正確に言うのであればソビエト連邦には、デザインと呼べるものはありませんでした。ただ、こういうのも変ですが、アートや文化はそれはそれはたくさんありました。だからこそ僕も子供の頃にドローイングを学びましたし、アーティストになりたいとは自然に思っていたものです。しかし後に、デザインに対する需要が大きくなると、僕は明らかにその真空に吸い込まれました。そして今もそれに魅了されています。常にデザインに没頭し、昼も夜もデザインで頭を埋め尽くしています。

とても未来的なプロダクトですが、どのようにインスピレーションを得ますか?

僕にとってのデザインの基準の1つに、「誰もこれまでに成していない」ことが挙げられます。つまり、何かあたらしいことをすることとデザインは、事実上同じことです。
まだ存在していないという事実が単に「成し得なかったから」と考える人もたくさんいると思いますが。
未来派という言葉はつまり、僕がとりくんでいる事に対する正確な定義にはなりません。例えば、「リモビーズ」の原理は、テレビが存在していない時代の旧式のチャンネル切り替えに基づいています。「フラッシュバッグ」もまた、容量のはかり方は旧式で、基本的に概括的、大雑把です。
僕は「内在的な意味」をオブジェクト、センス、スピリットに加える、と言いましょうか。結局最後は現代の未来的なテクノロジーを使うのですけどね。


好きなデザインはありますか?また理由も教えてください。

僕が思わず『なぜこれを思いつかなかったのだろう?』と叫んでしまうような、どんなアート、ポスター、建築、景色も好きです。自分の作品に関してもわかりやすいですよ。他人を思わず叫ばせるようなもの。誰かが僕よりも先にやってしまっていたという理由で諦めたものには、例えば、ヘンク・スタリンガのシーリング・ライト、セバスチャン ・ バーンのコーカー、フローリアン・クレムの「Floor/Wall Chair」などがあります。彼らに共通することが1つ。メッセージを伝えるということです。そしてそのメッセージは僕のようなキャベツ頭の者にとっても明確であるということ。これらのクリエイティビティの言語やコミュニケーションの見解を理解するには、イメージコンサルタントも必要ありません。ただそこに立ち、見て、ハイになるだけ。

世界における現在のデザインの重要性をどう思いますか?

少し前にサルを人間にしたのはデザインです。小さな石が徐々にくっついていって、巨大なスーパーメガストーンになり、それぞれがMP3ファイルを再生したり、またはあなたのカロリー計算をする準備を整えます。今、人間は、ただの消費するサルにならないためにも、再び緊急的にデザインを導入することが必要になっています。そこでアートの出番となるわけですが、これは全ての人が容易に理解できるものでもありません。ただティーポットやシュガーボールなどは誰もが日々目にしますよね。もしそのティーポットが無数の人々に1日に数回ポジティブな感情を与える事ができると考えると、デザインがグローバルに与える影響を把握できるできるでしょう。それはCNNにも勝ることですよ!

プロダクトデザインに大事な要素は何でしょうか?

馬鹿げているかもしれないですが、全ての要素が大事です。残念な事に、現代の多くのプロダクトが満たそうとしているのは以下2つだけ。外観的に型にはまった属性と、有用性もしくは機能性です。大量生産のプロダクトがなんらかのクリエイティビティを備え、何かを感じさせてくれたり、幸せな気持ちにさせてくれたりすることは稀ですね。これは悲しい事。
そのクリエイティブや感情を呼び覚ます力を一番に考えたいと思っています。外観フォームや型に関しては、素材選び、ボタン位置の利便性。良い教育をうけた現代のデザイナーは難なくクリアできます。

これからのデザインについてどう思いますか?

エジプト文化を考えた時に何が一番素晴らしいかと言ったら、この文化をどのようにして作り上げたのかということです。これはあるタイプのアートチェアの完璧な作品と言えます。どのタイプでしょう。グラフィックや建築のあるタイプです。なぜか?宮中に住み、知識を世代から世代へと受け渡していく「デザイナー」がいなかったから。そして「生産能力」にも欠いていたからです。現代にはそのような完璧な文化を何千もつくるチャンスがあります。すぐにある特別なインテリアに向けたイスや、もしくはテレビセットを作る事ができるようになるでしょう。もうすでにできているのですが、とても高い。それに消費者もデザイナーも、スタイルや色を選んだ後は、やはり出来合いのプロダクトの購入を選択するわけです。
今のところそのような文化はとても稀な現象です。どんなに例えば、カリム・ラシッド1人の存在がとても文化的なイベントだとしても。

過去と比べ、現在のデザインがより注目されている部分はありますか?それはなぜでしょうか?

どんな時代にもその時代の時計が必要です。過去には1年に27のイスを作り、それぞれに技術者の魂が込められていたものです。今は日に何百万のイスが生産され、表向きにはより高価になっていますが、やはり明らかに機械はその何百万のイスに魂は込められません。
だからこそ、デザインがとても重要なのです。オブジェクトに魂を込められるのはデザインです。僕たちの孫も捨てないような、よりアナトミカルなモデルと交換してしまわないようなオブジェクトに。


とてもカラフルなデザインですが、色についてはあなたのデザインにとって重要な要素であると思いますか?

「フラッシュバッグ」と「リモビーズ」のことを指しているのだとしたら、その写真はただのコンセプトの描写に過ぎません。コンセプトに1番重要な要素とは?注目される事ですよ!これが大量生産されることになったらすぐに、保守的な新しい色やバージョンが開発されるでしょう。特に未だにスーツを着ている奇妙な人々に向けて。
色は、他の重要なデザイン要素と同じように、重要な作用をもたらします。注目をひきつけられるべきオブジェクトの注目をひきつけたり、見えないものを微妙に残したり、または「フラッシュバッグ」を熟しきったオレンジに見せたりしますね!

デザインはこれからも進化していくでしょうか?それとも現代がピークだと思いますか?

その大部分は、デザインを作り出す専門家にゆだねられると思います。未来であろうが過去であろうが、またはどれだけたくさんのデザイナーが前にいようが、あなたが初めの1人であろうが、問題ではありません。今、母親のお腹にいないのであれば、私たちは生まれてきたばかりということですから(少なくとも僕は)、したがって常に動かされるべき山は存在するでしょう。

PLUSMINUS
Dima Komissarov

TEL:+7 (495) 917-54-03
dk@plusminus.ru
www.plusminus.ru

Text: Jacqueline Ste. Croix
Translation: Yurie Hatano

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