マルギット・ルカーチス&ペルジャン・ブロアセン

PEOPLEText: Ania Markham

彼らのインスタレーション「明/暗」が、オランダのブランド・モーイのアートディレクター、マーセル・ワンダースの目を引いた。インスタレーションの一部としてデザインされた斬新な壁紙が、オランダのデザインを代表する作品として世界中に紹介されたのだ。彼らはアートやデザインだけではなく、多様な分野での経験を重視しながら合作している。『これからはファッションデザイナーとのコラボレーションにも期待している』

市立近代美術館に展示されている最近の作品「偶然の出会い」は、流れ過ぎてゆく景色の映像である。題名はマックス・エルンストから引用されている。『…ミシンと傘が解剖台の上で出会う、こういった一見関連性のなさそうな要素が更に全く無関係な環境の中に偶然並べられると、とても印象的で詩的なひらめきを引き起こすことがある』

彼らの景色もまた二つの世界の出会いである。ひとつは「ゲーム」の世界。そこでは偶然などなく全てがコントロールされ、ゴールがきちっと決められている。もう一つは「現実」の世界。そこは運命に翻弄され決まったゴールなどない世界である。『「偶然の出会い」では、上から見ると普通の構造だけれど横からは錯乱した世界に見える風景を創った。レベルが進行するとともに動きが深まるゲームとは違い、ただヨコからヨコへの動きに限られている。この風景では “あてどもない” 横スクロールだけが体験となり、それは自分たちの考える “現実” の一部でもあると思う。コントロールされるよりも、運命に翻弄される方が自分たちらしいから』

彼らの初めての個展がデン・ボッシュ美術館で年内に開催される。そこでは各々の家系が自分たちのアイデンティティにどう影響しているかを展示する予定だ。彼らはお互いの家族が正反対なことに着目し比較する対象とした。最終的には二つの映像インスタレーションになる予定である。その他の仕事としてはオランダのバンド、コパークの美しい広告作品などがある。

次のプロジェクトは他のオランダのバンド、バウアーのアニメーションCMで、これは二人にとってやりがいがありそうだ。『3Dデザインにはとてつもない可能性がある。子どもの時行ってみたかった別の場所に(例えば月世界とか、今ではもっと遠くの世界とかに)行く代わりに、ゼロから全く新しい世界を作り出すことができるんだ。だから新しい発見の旅をどんどんやっていきたい』

彼らの他の作品は ウェブサイトでみることができる。また2006年6月18日まで行われている市立近代美術館での「ネクスト・レベル:アート、ゲーム、リアリティ」展もお見逃しなく。

Next Level: Art,Games and Reality
会期:2006年5月10日〜6月18日
時間:10:00〜18:00(月曜日休館)
会場:Stedelijk Museum
住所:5 Oosterdokskade, Amsterdam
入場料:9.00 ユーロ
https://www.pmpmpm.com

Text: Ania Markham
Translation: Nem Kienzle
Photos: Courtesy of Margit Lukacs and Persijn Broersen

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