コパーク
PEOPLEText: Bastiaan Rijkers
以前から知ってはいたのだが、つい最近私は、コパークというグループを改めて知った。前とは違った印象がある彼らの音楽を、私はすんなりと受け入れることができた。コパークは、オディロ・ズジーロ(ボーカル、ギター、サンプル)、モーリツ・デ・ランジ(ピアノ、ウルリッツアーというクラリネット系楽器、サンプル)、マーク・ヴァン・デ・ドリースト(ドラム、パーカッション)、リック・ハンセン(エレクトリックダブルバス)から成るオランダ人4人のバンド。
1999年のバンド設立まで、それぞれが様々なバンドでの活動経験がある。その1999年こそ全てが一つになり、魔法が始まった年だったと言えよう。バンド設立直後に2枚のデモCDを発表。すぐにメディアを中心に注目を集め、レーベル(ヴァージン)からのA&Rにとっては重要な作品となった。
彼らのカテゴライズされない音楽と、アルバムジャケットの完璧なグラフィックデザインには目を引くものがあり、つい何度も繰り替えしてCDを聴きたくなってしまう。メンバーの内2人が「普段の」生活では、グラフィックデザイナーというだけあり、コパークの中には美的センスが深く根付いている。音楽へのインスピレーションはいつ何時、そして何処からでも得ているという彼ら。時の流れに身を任せ、そこで残ったものを理解し、それらを説明することは、決して効率的なことではない。音楽を制作することで、グラフィックデザインとそれを比較できるのではないか、と彼らは考えている。それは、音楽もクリエイティブなフィールドにあるものであり、そこでは必ず全てを説明する必要等はなく、感情だけがその道を照らしてくれるからである。
コパークというおもしろい名前の由来を聞いたところ、かなり逃げ口上だけれども、逆に言うと的を突いている答が返って来た:
1. 聞こえが良いから
2. 国際的な感じがするから
3. 言葉としては何の意味も無いのだが、それでもこの言葉の由来を考えさせてしまう力があるから
4. ジョン・レノンが飼っていた犬の名前と同じだから
どの答が本当で、どれがそうではないのだろうか?これについては何とも言い難いが、同じように彼らの音楽面でのヒーローも、沢山いるとも言えるし、一人もいないとも言えるのだ。彼らのアルバムを聴いていただければ一発なのだが、彼らの音楽はサンプリングが進むように、ポップ、ジャズ、クラシック、モダンテクノロジーが面白いようにミックスされているのが分かる。彼らのデビューアルバム「バーズ、ハピネス&スティル・ノット・ウォーリード」をインスタント的なクラシックミュージックにする、タイムレスなキャラクターを持つ音楽がこそ、彼らの音楽なのである。
このアルバムは、ゆっくりながらも世界中でリリースされ、多くの人が彼らの音に魅了された。日本が最後の上陸国であり、多くのメディアが彼らに注目した。実際、私が彼らに会った時も、音楽レビューと記事が掲載されている日本の雑誌の山に囲まれていた。記事に何が書かれているのかは分からなかったが、でもどれもこのバンドの成功とバンドのキャラクターについて書いていたのであろう。彼らの日本ツアーが行われる日が近いことを祈ろう。
現在バンドは、来年初頭のリリースを目指して最新アルバムの制作に打ち込んでいる。今までよりも更に良い音がそのアルバムには収められているだけではなく、前回のレコーディングで学んだ事が、テクニカル的な知識の新しい方向性だけでなく、新しいアイディアへと繋がっているそうだ。バンドとしても更に成長し、一本筋が入って来たようにも思える。最新アルバムには大いに期待できるだろう。
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Text: Bastiaan Rijkers
Translation: Sachiko Kurashina