NULL*

PEOPLE

東京を拠点に活動する「artless」によるプロジェクト・ユニット「null*」。日本の伝統的な美意識をコンセプトとし、タイポ、フォト、イラスト、ペインティング、インタラクティブ、映像など、様々な手法でメディアにしばられないグラフィック表現を行っている。2005年には作品集「null*本」もリリースした。
京都、東京に続き、札幌「SOSO」にて3回目のエキシビジョンを開催する。


まず初めに、自己紹介をお願いします。

null*」(ヌル)というプロジェクトユニットの言い出しっぺである、カワカミシュンと申します。
普段のクライアントワークや個人的なアートワークでは、「artless」という名前で活動しています。artlessは、一応、会社でもありまして、メディアに縛られないように自由に様々なグラフィックデザインやアートディレクションを行っています。

「null*」結成の経緯やメンバーについて教えて下さい。

null*結成のきっかけは、2004年9月に「ROCKET」にてエキシビションを行ったのですが、その時、見に来ていただいた京都の「PRINZ」ギャラリーからエキシビションのオファーを頂いたのが始まりです。

個人的なエキシビションの後だったこともあり、自分自身が影響を受けたいデザイナーやアーティストとひとつのテーマでのグループ・エキシビションをしたいと考えました。そして、以前から、一緒に何かを作りたいと感じていたデザイナーやアーティストに声をかけることを始めました。大切にしたいと考えていた美意識のようなもの(=作品のコンセプト)などを伝えました。京都でのエキシビションということもあり、以前から興味のあった、「日本の伝統的な美意識」のようなものをコンセプトとしました。

それに共感してくれた(※いや、巻き込まれてくれたという方が正しい)デザイナーやアーティストで構成されたユニットが、null*です。これが、結構、みんな巻き込まれてくれまして、現在、メンバーは15名もいます。今後、まだ増えそうな予感もします。(笑)

メンバーは、グラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、フォトグラファー、ペインター、イラストレーターという構成です。付き合いの長い方から、最近知り合った方まで色々でして、みな、尊敬に値する方々で、遊んでいただいて感謝しています。

基本、null*は、表現を楽しむことを大切に考え、温く(ヌルく)という心地よい適温も、コンセプトです。(笑)

コンセプトとする「日本の伝統的な美意識」とは「null*」にとって何でしょうか?

ストレートに日本的、ジャポネスクなグラフィックを作るという意味ではなく、『日本人で日本で生活している以上、意識しなくても潜在的に「日本の伝統的な美意識」というものは、蓄積されている』と考えています。null*は、その自分の中の潜在的にある日本の美意識というものをコンセプトと意識し、刺激しながら作品を作るということです。そうすることで、表面的では見えにくいかもしれませんが、ほかにはない(特に海外にはない)、独自の何かを作れるのではないかと考えました。

海外のデザインばかりをあこがれ見てきた自分が作るものに、少々飽きていたということもあったかもしれません。なので、あえて、「日本の美意識」を大切にすることで、新しいものを作れるんではないかと。日本人なんだし、大切にしないとなと。温故知新という感じでしょうか。

主にどのような活動を行っていますか?

主な活動は、エキシビションを行うことです。作品を作り、楽しみ、発表し、楽しむ。それ以上でもそれ以下でもありません。

null*は、0、空値{くうち}、 無価値{むかち}という意味です。ですので、null*は、一般的な価値を求めてはいません。自分たちが楽しむ活動で、人生には無駄なようなことの方が、大切だったりしますし、その無駄が、null*だと思います。

京都、東京で行われたエキシビションについて教えて下さい。

京都では、2005年1月18日〜2月20日に「PRINZ」というカフェ/ブックストア/ギャラリーそしてホテルもが、ひとつになった心地よい場所でnull*初のエキシビションを行いました。
その時のテーマは、「余白」。余白を意識した作品を求めました。そして、すべての作品の紙は和紙を使用し、余白の部分を大切に生かす、作品群で構成。また、インタラクティブデザイナーもメンバーにいますので、カメラの音声と画像に反応するインタラクティブなインスタレーション作品も同時に制作し、PC+カメラも常設しプロジェクターにてフロアに投影、展示しました。

その後、東京では、2005年9月9日〜25日に「COMME CA COMMUNE」というファッションブランドからのオファーで、ショップ内でのエキシビションを開催しました。移動展として開催し、京都でのグラフィック作
品とインタラクティブ作品の展示を行いました。そして、このタイミングで、作品をまとめた「null本(Null-bon)」というふざけた名前の作品集を制作しました。

2月11日から行われる「SOSO」でのエキシビションですが、意気込みなどを聞かせて下さい。

ヌルく、娘に自慢話できるようないいエキシビションにします。(笑)
初日の夜、オープニングパーティでお会いしましょう。オオサワアキラのライブペインティングも見れます。
今回の14の作品は、とてもいいバランスで仕上がっていると思います。個々の個性が強く出つつ、null*のコンセプトが緩く全体でひとつの作品にしていると思います。14の作品を一度に眺めて楽しんでください。
また、今回の14の作品をまとめた広げると約A1サイズの大きな本、二作目となる作品集もその日に発売予定です。

横浜で開催される「エレクトリカル・ファンタジスタ」での出品作品についても教えて下さい。

カメラに反応して動くインタラクティブ作品を2作品、出品しています。作品については、+39さんと鎌田君に話してもらいます。

+39/K.Tozaki (KARATE SYSTEM):
横浜で展示している作品は「Atmosphere(decomposition)」という作品です。この作品はカメラを経由して伝達される空間の様子を分解するインタラクションで、視覚による空間認識を変異箇所の色の抽出という形で表現しています。カメラをデバイスとして動きの無い空間(null領域)の中に発生した、無意識のインプットから生成されるアウトプットを見ることで、空間内に発生した変異を認知させています。まだまだ改良の余地はたくさんありますが、「空気を読む」というような行為をコンピューターを用いて実現できたらいいなぁと思っています。
簡単に言うと・・・・w 人の気持ちを理解して反応してくれるものができたらいいなぁと思って作った作品です。w

Talashi Kamada (.spfdesign) :
横浜の「エレクトリカル・ファンタジスタ」に出展している「Factoral Dots(ファクトラル・ドッツ)」は、環境音を検知することによってドット群をリアクトさせながらビジュアルを形成するインタラクティブコンテンツです。環境音の平均ボリュームから一定量突出したボリュームを検知すると、ドット群は全体をリアクトさせながら不必要なドットを消去していきます。全ての不必要なドットを消去し終えた時、ドット群はある形を形成しています。要は、叫べば動きます。で、なんか画になります。
音を加える(+)がドットを消去(-)し、その現象自体が形を形成する行為(+)になる。「-=+」というnullのコンセプトを具現した一例です。※Factoralは造語

SHIFのカバーデザインのコンセプトは何ですか?

2006年3月11日〜31日、札幌のSOSOで開催されるnull*の3rdエキシビジョンが終了するまでの時間をカウントダウンしています。今回のエキシビジョンのコンセプトは「×0」。全ての数字は「0」を掛けると必ず「0」になる。エキシビジョンの終着点を「0」と見立てて、それに向かってカウントダウンしています。文字を構成する各ドットは出展作品をトリミングしたものです。
デザインとFlashは、「.spfdesign」の鎌田君、コンセプトデザインがボクです。鎌田君とは結構付き合いが長く、彼がまだカナダにいた頃からの知り合いです。彼と出会ったおかげで、ボクはFlashをさわるのやめました。彼にはかなわないなぁと思いまして。(笑)

今後の計画や、チャレンジしたいことはありますか?

そうですね。このnullのプロジェクトは、特に海外に意識を向けていきたいです。海外の違う文化の人々にnullの作品をどう感じるのかに興味があります。きっと、日本人よりもちゃんと日本を感じてくれるんじゃないかと思います。(笑)

また、海外に行くと日本の良さがよく見えます。異文化に触れることで、自分の感覚が成長や変化をします。なので、自分の変化のためにも海外に意識を向けていきたいですね。

最後に読者にメッセージをお願いします。

デザインや作品作りはスポーツのような意識があります(ボクにとってはサッカーですが)。勝利するために試合をするのですが、勝つことがすべてではありません。負けたら楽しくないのですが、w
原点は、楽しいと感じたからなはずです。なので、その原点をもっとも大切にしたいと考えています。

そして、ボクにとって、デザインや作品を作ることはコミュニケーションですので、自分のいいと思うものを作り、同じようにいいと感じてくれる方との新たな出会いも想像しています。

笑いあいながら共感しあえる、新たな出会いができることを楽しみにしています。

null*
null@artless.gr.jp
www.nullartless.com

Text: Yurie Hatano

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