ブルース・コナー

PEOPLEText: Ammon Haggerty

ブルース・コナーは先駆者的な存在のマルチメディア・アーティストである。50年代後半からメディアをミックスし、フィルム制作やアセンブラージュ、写真、彫刻、イラストレーションなどの分野を手掛けてきた。彼の作品は、ビートシーンに反映したコラージュ作品から初期のパンクシーンの写真など、サンフランシスコ文化に広がった。


Bruce Conner, Christ casting out the legion of devils, 2003, Cotton, fire-retardant polyester, and wool Jacquard tapestry, 265.4 × 292.1 cm © Conner Family Trust

私は最近、ブルース・コナーの2つの有名なフィルム作品を紹介された。「ルッキング・フォー・マッシュルーム」と「クロスロード」である。このフィルムは、編集者として、そしてヴィジョンデザイナーとしてのコーナーの素晴らしさを浮き彫りにしている。


Bruce Conner, Looking for Mushrooms (video stills), 1959–67/1996 © Conner Family Trust

コーナーが1959年から1996年にかけて制作したフィルム「ルッキング・フォー・マッシュルーム」は、抽象的な世界への実験的な旅である。マジックマッシュルームに寄せる詩とも言えよう。オリジナルのフィルムは、ジョン・レノンのスコアに合わせ、3分の長さであったが、後にテリー・ライリーのマスターピース「ポピー・ノーグッド・アンド・ザ・ファントム・バンド」に合わせ、14分に引き延ばされた。音とフィルムの早さの繰り返しが、無理矢理に内省の状態をひき起こすような、魅惑的な効果を生み出す。カットアップやレイヤーのスタイルは現代を感じさせ、トマトの最近のプロジェクトの一つにさえもなり得る。

Bruce Conner, Bombhead
Bruce Conner, Crossroads (video stills), 1976 © Conner Family Trust

コーナーが1976年に制作したフィルム「クロスロード」は、ビキニ環礁で初めて行われた水爆実験の機密扱いから外されたフィルムを堂々と組み立てたものだ。フィルムは、岸から見える退役する日本の戦艦群のシーンで始まる。ゆっくりと波が巻かれ、鳥の声がかすかに聞こえる。そのシーンが静かで平穏としている事から、次にくるものの予感が強調される。ついに水爆実験が実行されると、その光景は静まる。容赦ない爆撃の音が見る者に届くのはそのずっと後のことだ。見る者をひどく震えわせたまま、音はしばらく尾を引いて消える。これが27回続く。その度に異なる見解を交え、このコンテンツの現実にたどりつくまで見る者の感度を鈍らせる。

後半はテリ−・ライリーのミニマリストの楽曲を紹介する。このフィルムを巨大な破壊の記録から、雄大な自然の美しいビジョンへと転換するシーンのように。コーナーは、浮遊したアニメーションの感覚を作り出すフィルムを通し、時間で遊ぶ。乱れるように激しい主題の中、フィルムがフィナーレを迎える頃には。なんだかとても平静な気持ちが残ったのだった。

12月には、サンフランシスコ現代美術館が彼の作品の上映を行う予定だ。

Text: Ammon Haggerty
Translation: Yurie Hatano

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