マミー・ザ・ラビット展
フリフリカンパニーの程亮弼氏の呼びかけにより、世界中から集まった、総勢28アーティストによるチャリティープロジェクト「Toy Saves Children」の展示が、原宿のラップネットと渋谷にあるコムサコミューンで行われた。
今回のこのチャリティープロジェクトの内容は、雑誌KERAで程氏が連載中の漫画「マミー・ザ・ラビット」のぬいぐるみを各アーチストがカスタマイズし、世界に唯一の「マミー・ザ・ラビット」を制作し。また、展示後はオークションにかけられその売上金はユニセフへと寄付される。
展示されたぬいぐるみは一つとして同じものはなく、アーチスト各々テイストが表現されていた。一つのモチーフを用い作品を作るのはあるようでなかった試みなので、そのアーチスト一人一人の個性が浮き彫りになっていて、単純にこのぬいぐるみは面白いという印象と、このアーチストはこんなカスタマイズを施したのかなど様々な考えが浮かんでくる。
中川大氏による「マミー・ザ・ラビット」は自動式で、こちらが何らかのアクションを起こさなければ動かないというぬいぐるみの概念をうちやぶり、ゆっくりとだが動き続け、ついついそのループされる一連の動きに見入ってしまう。近頃めっきり少なくなったおもちゃ屋には、かならず柵に囲まれた電池でうごく犬や、おさるさんがいたもので、その当時も物欲以外の興味をもって長い間見入っていたのを思い出す。人はなぜ自動式の物体に興味を持つのかわからないが、現在でもロボットへの夢は尽きないし、やや現実のものとなっている。欲しいか欲しくないかは別にしてアシモが動いているのをみると感動する。その感動に通じるものがこの作品にはあったのは確かだ。
デザイナーズ・リパブリックによるぬいぐるみも、ロボットつながりで恐縮だが、ぬいぐるみモビルスーツのようないでたち。その外観は実にかっこ良く、世の中にあるぬいぐるみの中でも切れのあるルックスをもつ「マミー・ザ・ラビット」が、さらに先鋭的になり、このまま宇宙空間にでてもなんとかやっていけるのではと想像させた。
ほかの、ぬいぐるみも切ったり、貼ったり、塗ったり、載せたり、吊るしたり、され、展示スペースは「マミー・ザ・ラビット」の集会の様相を呈していた。
原宿のラップネットで行われた展示は、終了したが、コムサコミューンでは8月21日まで展示されているので、機会があれば見に行くのもいいのではないだろうか。
この「デザイナー、アーティストが社会に貢献するには?」という問題意識から生まれた「Toy Saves Children」は今回のプロフェクトが第一弾ということもあり、今後も活動を続けていくようだ。第二弾でのプロジェクトでもっと掘り下げていくに違いないが、現在の世界が抱える問題への関心を呼び覚ますプロジェクトであったのは確か、「世界の恵まれない子供たち」という言葉を、日々の生活の中で忘れていたぼくは、今回の展示を見たあと初めてユニセフのウェブサイトへ訪れた。そこでふと、昔はよくテレビでもこういった情報は流れていたなと思い出し、いまだに続く問題を意識する。そういえば、映画「ビフォア・サンセット」のなかでジュリー・デルピーもこんな活動をしていたっけ。
参加アーティスト:CROW’S factory、Cupco!、DEVILROBOTS、DOMA、forcefeed:swede、Friendswithyou、FURI FURI、Gary Baseman、JAKe、Jeremyville、川上登(JAP工房)、Kerb、MAD BARBARIANS、Miss Van、光倉カオル(be・glee)、中川大(Zip image)、押田秀一、RINZEN、Rolito、Scarygirl、タケヤマ・ノリヤ、The Designers Republic、TOKIDOKI、TOUMA、Uglydolls、宇高ノブアキ、山下隆生(beauty:beast)、YOU-KO(JAP工房)
※展示作品は全てYAHOO!Japanチャリティオークションで購入可能となります。
チャリティオークションの売上金は財団法人日本ユニセフに寄付されます。
Toy Saves Children
Rebirthed Mummy the Rabbit
会期:2005年7月2日〜10日
会場:LAPNET CLUB
住所:東京都渋谷区神宮前1-8-10 FORET原宿4F
入場:無料
会期:2005年7月15日〜8月21日
会場:COMME CA COMMUNE 神南坂フレーム店
住所:東京都渋谷区神南1-18-2
入場:無料
Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Photoperformer Pas