「ノーカントリー:南アジアと​東南アジアの現代美術」展

HAPPENINGText: Fann ZJ

過去は “もろい境界線” というものを知っていたのかもしれない。南アジアと東南アジアの古来の王国は東西の影響を受け、宗教的、政治的そして経済的関係に呼応しながら、社会や文化が発展し成功するための模範や同盟を形づくった。モダンな世界へと急き、グローバリゼーションこそがこれらの境界線を確固たる物とし、自由貿易などグローバルな世界にはオープンに、そして利益とならない問題に関しては消極的に守りに入る様になった。

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No Country: Contemporary Art for South and Southeast Asia

どの国も南アジアそして東南アジアの地域アイデンティティや文化、そして国際問題といったことを、民族のレッテルや壁を超えて見ようとしない。本展では南と東南アジアを網羅する10の国の10人のアーティストを紹介し、一人一人のアーティストの作品はそれぞれの国の社会の考え方を表している。

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Tang Da Wu “Our Children”

タング・ダ・ウーのガラスと亜鉛メッキ鋼を使ったインスタレーション「アワー・チルドレン(私達のこども)」はシンガポールのマリーナ・ベイのスカイラインに使用されている鉄とガラスのファサードを思わせる。“親孝行” の概念を表した「アワー・チルドレン」は京劇のワンシーンを表しており、母親の山羊が赤ん坊の山羊に乳をやるシーンが再現されている。この作品を見て「ミルクの入ったボトルがテーブルに置かれ、小さいサイドテーブルがその横にある」と感じる鑑賞者もいる。一見ロマンチックなインスタレーションに見えるが、失われて行くアジアの価値観と現代の葛藤を抽象的に表している。

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