4U ラグ展

HAPPENINGText: Yuki Ishida

「ラグ(手織り絨毯)」は、アフガニスタンが世界に誇るクラフトワークの一つであり、生活に密着した道具。その使い方は細分化され、たとえば食事用だったり、お祈りの際に使用したり、あるときは嫁入り道具として母子でラグを織りその思い出をつれて持っていくような、“スピリチュアル” で “リアル” なもの(日本では高級品として飾り物とされることが多いけれど)。

そのラグを、日本のアーティストとアフガニスタンの職人たちとのコラボレーションで制作するというプロジェクトが「4U」。「戦争」「ランボー」といった、同国のステロタイプなイメージを払拭するべく、Unite(合同する)、Unique(無比の)、Unison(和音)、Universe(宇宙)という、アフガン復興支援という願いが込められたピースフルなラグが、遠くアフガニスタンから届いた。

参加アーティストは、浅野忠信、宇川直宏、白根ゆたんぽ、田名網敬一、タナカカツキ、生意気など14組。そのデザインを、現地の職人が長い時間をかけて丁寧に織るというものだ。

ラグは、一日に2〜3センチほどしか織り進めることができないため、手の込んだ作品では2人ががりで半年を費やしたものもあるとか。間近に見ると、確かにその作業の繊細さが見て取れる。また何より大変だったのは、色や絵柄についての、職人への翻訳作業だ。あまりにもかけはなれた文化に暮らす彼らとの間にある感覚の違い(※「赤」一つとってみても、それが夕焼けの色なのか、血の色なのか)を埋めなければ、アーティストのデザインを再現することはできないからだ。残念ながら下絵の展示はなかったので、どのくらい再現できているかを知ることはできなかったが、ラグとして完成された作品を見て、下絵を想像するのもまたよしということで。


田名網敬一

入り口を入ると、まず田名網敬一の作品が目に入る。おなじみの金魚をモチーフにしたデザインは、田名網テイストはもちろんそのままに、色、風合いなどラグ独特の質感が加算され、『自分でデザインしたものよりおもしろかった』と本人も満足の仕上がり。

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