共和党大会と抗議デモ

HAPPENINGText: Carlos J. Gomez

ニューヨークで最近あったオープニングや、コンサート、イベントなどをレポートしようと思ったのだが、この夏はどうも静かでレポートするほどのことがなかった。(実際、今年のニューヨークの夏は秋のようだった。)

街の風景も冴えなく、一番目立っているのが「共和党大会」。もっと正確に言うと、これにあわせて組織された抗議デモだ。信じられるだろうか?

ほとんどが民主党派であるニューヨークで共和党の会議が約一週間に渡って開催されるということで、ある種の不安感が漂っている。人々は敏感になった安全への感覚でもって、慎重になっている。なぜこのような対立関係が会期に向けて注目されているのかは説明するまでもないだろう。事実、アメリカ中、そして世界中の共和党に異義を唱える人々の注目を集めるため、現在共和党バッシングが行われている。

僕が興味深いと感じたのは、モバイルテクノロジーとそれを使って不満を表現するだけではなく人々の声まで伝えるアーティストによる、民衆の抗議のかたちの変化だ。このようなパブリック・パフォーマンスやプロジェクトを集めて書くのは、このコーナーにとって価値あるものだと思う。政治分野でのモバイル・コミュニケーションとメディアのパレードとでも言おうか。

バイク・アゲインスト・ブッシュ」は、スプレー缶とワイヤレスラップトップを装備した自転車で、携帯電話やウェブを通じて受け取ったメッセージを自転車の通った道にスプレーしていくという代物。このプロジェクトはインスティチュート・オブ・アプライド・オートノミーによるグラフィティ・ライターマジック・バイクの賢いコラボレーションだ。

「コミュニポート」はサウンドメディア・アーティスト達によるもので、現地のレポーターが身に付けられる移動可能なリュックサック型のラジオ。ストリートからライブでのイベントレポートを可能にする。

携帯電話を集団の表現手段として利用するいくつかのプロジェクトもある。TxtMobはメーリングリストのような形で、携帯電話のテキストメッセージを使い、リアルタイムで読者に情報を送る。Moportは、カメラ付きケータイなどでジャーナリズムの最前線をレポートし、その出来事をモブログで掲載していくというサービス。

BUREAU OR INVERSE TECHNOLOGY」は電子戦戦術のように、電波を散発的に押し込む無線信号を一気に送ることのできる特別な発信機を使う。

他国からの参加者は、都市での抗議ゲーム(このようなことを経験したことのある人はほとんどいないと思うが)に参加することができる。「オペレーション・アーバン・テレイン」は、市民生活の軍事化を批判するべく、無線ネットワークとストリートを使用する。— “市民”が今日どのような意味を持っているとしても。

保守派のメディアはこの会議に向けて、デモ行進用ポスターのディストリビューション・センターとなるサイトを運営している。そのデザインもなかなか良い。

ウェブカメラ、ラジオ、ラップトップ、電話、自転車。このようなワイヤレス機器を扱うグループがこの夏「プロテスト・バージョン2.0」を発足。彼等は、スマート・モブは今日の変遷をリードしてきたと話し、また「共和党大会」とカウンターさせたコンベンションを開催する人達には勢いがあり、おそらくこの都市を決して眠らない街として目覚めさせるだろう、と話している。

COUNTER CONVENTION
会期:2004年8月30日〜9月2日
会場:ニューヨークの様々な場所にて
https://www.counterconvention.org

Text: Carlos J. Gomez
Translation: Naoko Fukushi

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