ゲイビー・マンガーノ

PEOPLEText: Gisella Lifchitz

『前に一度、人々の痛みを吸収し、次第に死に至っていく男の話を書いたことがあります。「リンク」というこの物語の結末では、その男が街のまん中で人々の痛みを吸いとりながらこの世を去ります。』(ゲイビー)

完璧。人はこう呼ぶ。力が抜けて、椅子にしっかりと座らなないと今にも倒れてしまいそうな感覚をもたらすその音楽は、私たちを異なる時空間へと連れて行ってくれる。これが初めてそのステージを見たときの印象だ。天国の音楽。25人で構成されるオーケストラは、ギター、ドラム、そして完璧すぎるほどの女性ボーカルというトリオのために完璧なシナリオを提供する。完璧すぎて恐ろしいくらいに。

そのバンドのリーダー、ゲイビー・マンガーノに、彼の自宅にてお話を伺った。

『僕は、初めて音楽と出会ったときのことをよく覚えています。音楽を初めて奏でるとき、人はその小さな自分の世界から、大きな世界へと音楽を届けたくなるものです。僕が音楽を始めたのは、 22 歳の時、もうすでに大人になってからでした。』

彼は、デュアルフォニックを『ヨーロッパのトリップホップと、オーケストラ的なポップミュージックのトレンドを組み合わせようなプロジェクト』と、位置づける。彼は自分の部屋で、長い間頭の中にあった曲を形にしようと椅子に座ると、曲は夢のような一連の映像の流れと共に頭に浮かんでくると語る。実際に聴いていみると、どの曲も独特で、彼自身を表現しているかのように思える。

『曲を考える時、アイディアは映像のように、何か一つにまとまって浮かんできます。僕たちは、映像と音をリンクさせようとしているし、それが普通のことだと考えています。僕は、映画を見ながら、想像で音楽をつけたりするのが好きです。』

この地では、英語で自分を表現するのを嫌う人がいる。しかし彼の楽曲は英語で書かれており、繰り広げられるショーのセリフも英語だ。しかも発音はアメリカ英語。

『僕は、たとえ言葉が分からなくても、音楽を通して何かを伝えることができると信じています。字幕はつけようと思いましたが、スペイン語でストーリーを作ろうとは思わなかった。字幕を読むという行為によって、オーディエンスに能動的な姿勢をとってもらうことができる。あえて危険な事をしたり、人を驚かせるのが好きなんです。』

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