アルネ・ヤコブセン生誕100周年記念展「完全なモダン」

HAPPENINGText: Andrew Sinn

アルネ・ヤコブセンの生誕100周年を記念して、現在ハンブルグのダイヒトーアハレンで、「アルネ・ヤコブセン:完全なモダン」と題した展覧会が開催されている。ヤコブセンは、1930年から70年代にかけて活躍したデンマーク人建築家。完璧主義で知られた彼はまた、デザイナーとしての顔も持つ。


SAS Hotel, Copenhagen

例えばコペンハーゲンにあるSASホテルは、建築から照明、家具、壁紙、陶磁器類、食卓用金物 (ナイフ・フォーク・スプーン)まで、施設全体を手がけた彼の代表作の一つだ。そんなヤコブセンはバウスハウスのシンプルさと機能主義に影響を受けたが、彼自身が最も好んだ作品は、60年代スタイルを彷佛とさせる「スワン」と「エッグ」といった手すりがついている椅子だという。


Arne Jacobsen, Bankers Wall Clock, 1971

展覧会場に一歩脚を踏み入れると、まずはプライベート写真やスケッチ、それに建築模型などが目に入ってきた。もしかしたらこれは、僕が必要以上に期待し過ぎていただけのことだけかもしれないが、どれも面白いものばかりにもかかわらず、何だか物足りなさを感じてしまったことは否めない。その後の展開も、椅子が円を描くように配置されてあったり、僕でさえも以前どこかで見たことのあるティーポットや灰皿が展示されてあったり、伝説的なSASホテル606号室の再現バージョンがあったりというだけ。どうしてそんな伝説的な一室にヤコブセンがデザインした机に、その時代には絶対なかった今風のコンピューターを置いたのかが謎である…。


Arne Jacobsen, Vola Kitchen and Bathroom Fittings, 1968

思わず笑ってしまったのは、バスルームを展示スペースでのことだ。そこでは、展示物を触らせないようにとある種の囲いがされていたのだが、みんながみんな、それを無視してシャワーヘッドなどを平気で触っていたことだ。もちろん美術館ではこれは観客としてやってはいけない行為。しかし、この展示の仕方がいかにもショールームのようであるために、どんな人でも(もちろん僕も含めて)自然に手が伸びてしまうのである。警備員が何度も、囲いの中に入らないように注意している姿を目撃したのは言うまでもない。

Arne Jacobsen “Absolut Modern”
会期:2003年5月3日(土)〜8月31日(日)
会場:Deichtorhallen Hamburg
住所:1-2 Deichtorstrabe, D-20095 Hamburg
TEL:+49 (0)40 32 1030
info@deichtorhallen.de
http://www.deichtorhalle.de

Text: Andrew Sinn
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of Deichtorhallen Hamburg

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