ダミアン・ハースト大回顧展

HAPPENINGText: Sari Uchida

1990年代、 ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)の寵児として名乗り出た、ダミアン・ハーストの大回顧展が開催中。場所は、4月17日にオープンした「サーチ・ギャラリー」。テムズ川沿い、現代美術の双璧を担うテイト・ブリテンとテイト・モダンのちょうど中間地点に位置している元大ロンドン市議会本部、カウンティ・ホール。今回この建物の一階部分を改装(建築家グループRHWLが担当)し、広告代理店業で大成功をおさめたチャールズ・サーチ氏の個人コレクションの常設ギャラリー(総計約2000点の中から約75点を展示)として生まれ変わった。

ダミアン・ハースト ニューポート・ストリート・ギャラリー
「This little piggy went to market, this little piggy stayed home」Damien Hirst

新作こそ無いが、ハーストの過去12年間のメジャーな作品17点が他のYBAたちの常設作品と同じドーム型天井を持つ元議会室に並んでいる。ハ−ストは、しばし「死」そして「腐敗」をとりあげ、初期の「The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living(生者の心における死の物理的不可能性)」(通称「サメ」)がその代表作。1992年の初公開以来、腐敗の深刻な進み具合が時折報道されてきたが、今回の展覧会では専門家の手によりかなりキレイに手入れされて登場。他には人体模型をモデルにした巨大な「Hymn(讃美歌)」がユーモアを、また生きた魚をコンピュータや無地のキャンバスとともに水槽に閉じ込めた「Love Lost」が死を象徴している。

ハーストそして他のYBA達の作品も、既に1997年のロイヤル・アカデミー・オブ・アートで開催され国内外で話題を呼んだ「センセーション」展でお目見え済みのものが多い。


「Hymn」「The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living」Damien Hirst

元議会室の入り口には、ギャビン・ターク作のシド・ヴィシャス像「ポップ」が立つ。その脇を通ると細長い廊下の壁に沿って並ぶ小部屋(元市議会委員のオフィス)のここそこに、ハ−ストの作品が玉手箱を開く感覚であらわれる。オークや大理石の壁が特徴的な畏まったエドワード朝建築にホルマリン漬けの羊「Away From The Flock(群れを離れて)」や巨大な灰皿「Horror at Home(家庭での恐怖)」が当たり前の顔をして収まっている。


「Away From The Flock」Damien Hirst

確かにテイト・モダンも「ファーマシー」など、ハ−ストの大規模なインスタレーション作品を所有している。しかし、彼の名が初めて世に広まった一連の“ホルマリン漬けの動物の死体シリーズ”を堪能したいならばココ。ちなみに地元マスコミによるとハーストは、自作がテイト・モダンに掛けられることを臨んでおり、新サーチ・ギャラリーに対して複雑な心境だとか。有名人総出のオープニング・パーティの際もメキシコ旅行中で欠席。ついでに、パーティ嫌いのサーチ氏も姿を現さず、主役2人が不在のまま開催された。(その昔、「サメ」制作をコミッションしたのはサーチ氏であったはずなのに・・。まな弟子の恩知らず?)

今後は常設展、企画展共にコレクション作品を入れ替えて展示していく予定だ。

Damien Hirst Exhibition
会期:2003年4月17日〜8月31日
会場:サーチ・ギャラリー
住所:County Hall, Southbank, London SE1 7PB
営業時間:10:00〜18:00(金・土曜日22:00まで)
TEL:020-7823-2363
入場料:8.50ポンド
http://www.saatchi-gallery.co.uk

Text: Sari Uchida
Photos: Nick Kane

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