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サンデーヴィジョン展

HAPPENINGText: Michiko Ikeda

今回のペインティングでは、シルバーと黒以外の色は使用されなかったため、作品は全体的にモノクロの世界。しかし、展覧会開催中にソーソーカフェで閲覧することができた、古武家氏の作品集を覗いてみると、ユニークでコミカル、そして楽しさ満点のキャラクター達で溢れていることに気付いた。どのキャラクターもカラフルに彩られており、そのキャラクターの性格や背後のストーリーなどが強く感じられる雰囲気。どれも実に個性的で、一目見ただけで、古武家氏の作品と分かるものばかりだ。

ドットソーソーでの彼のパフォーマンスを見た後では、この力強い色たちが、彼のダイナミックな描き方と強く結びついていることが分かる。「現代的表現方法」という彼独自のユニークなスタイルが、この作品集の随所で見受けることができ、ページをめくる度に、思わず微笑んでしまう感じなのだ。登場するキャラクターのどれもが、まるで古武家氏の昔からの親友のように感じられるという点が、世代を越えて多くの人々に彼の作品が受け入れられている理由なのではないだろうか。はたして古武家氏の目からは、本当に世界がこのように見えているのだろうか?もしそうだとしたら、彼の人生は本当に楽しいものだろう。そしてもし彼が私を描くとしたら、どのような私が誕生するのだろう?考えただけでも、わくわくしてしまう。

今回のイベントで古武家氏は、人物を描くことはなかったが、ハートや奇妙な風景の中に目玉を描いたりするなど、やはりここでも一瞬で「古武家ワールド」と分かる演出を行ってくれた。頻繁に進め方を確認し合っていた越尾氏と古武家氏。完成まで費やした時間は約2時間半。満面の笑みと共に最後には「完成!」という彼らの声が会場に響き、オーディエンスからは、大きな拍手を受けていた。まったく違ったスタイルを持つアーティストがコラボレートし、このような調和のとれた素晴らしい作品を制作してくれたことに、私は心から感動することができた。もしかしたら双方のスタイルが違うからこそ、彼らのパフォーマンスから目が離せなかったのかもしれない。

その後、越尾氏と古武家氏は、その他のゲストと談笑したり、オーディエンスからのサインに応えたりなどしながら、その夜を楽しんでいたようだった。そして今回、私がもっとも強く感じたのが、完成された作品を鑑賞するよりも、作品が完成されるまでの様子を見守る楽しさだ。今回制作された作品は、5月いっぱいまでソーソーカフェで展示されていたが、完成されてもなお、見応えのあるものであった。

展覧会では越尾氏デザインによる漆塗りのスケートボードも展示。彼独特の木の葉が金色であしらわれており、ピュアな美しさを演出している。またその他にも、本展覧会では彼の幅広い可能性を感じる事ができた。展示作品の中でも私のお気に入りは「シンバルとにんじん」という作品。

モノクロで描かれておりながらも、美しい世界が広がっている作品だ。その他の作品はどれもカラフルなものばかり。どの作品からも、丁寧に制作された様子がひしひしと感じられる作品だ。

4×5メートルの巨大な壁一面に展示されていたグラフィック作品は、迫力満点で本当に色鮮やかで美しかった。

次回ソーソーカフェで行われるイベントに期待が高まるのは、私だけだろうか。その際は是非、あなたも目撃者の一人であってほしい。

サンデーヴィジョン展
日時:2003年5月3日〜30日
時間:11:00〜21:00
会場:SOSO CAFE
住所:札幌市中央区南1西13三誠ビル1F
TEL:011-280-2240
協賛:キヤノン株式会社
https://www.shift.jp.org/soso/

Text: Michiko Ikeda
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Michiko Ikeda

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