アート・バーゼル・マイアミビーチ 2002

HAPPENING


Miami Beach Convention Center. Courtesy Art Basel Miami Beach


「ART BASEL」のアメリカ版第一弾が開催された。その名も「アート・マイアミ」。明るくカラフルなアート・マイアミからは、スイスの山中で行われた同イベントとの関連性はあまり感じられない。イラリア・ヴェントリグリアの計らいで、マイアミにまで取材に行くことができた。


“Art Positions”, container at Collins Park. Courtesy Art Basel Miami Beach

驚くべき速さでその数を増すフェアの数を見ていると、嫌がおうにも何かしら賞があり、それを祝う授賞式のようなものがあるのではないか、という気分になってしまう。このイベントが世界のどこで行われようとも、そしてそれがアート、デザイン、クラフト、フード、マシーンとジャンルが違えども、ここではすべてが一緒なのだ。招待客だけのオープニングパーティー、白い空間、トレード・オペレーターから、一般のビジターまで。すべての人の道は、このイベントに通じているのである。

2002年12月5日から8日まで開催された「ART BASEL/マイアミ・ビーチ」は、今までのそれとはちょっと違う。イベント開催までに費やした時間は約2年。本来ならば、2001年に開催される予定だったこのイベント。同年9月に発生した、同時多発テロでキャンセルせざるおえない状況に追い込まれてしまったが、遂に今回、その産声をアメリカであげることになった。6月にスイスで開催されたフェアは、既に33回の開催を数えており、それの冬版を開催するには、充分すぎる程、大規模なイベントだ。


Container at Collins Park. Courtesy Art Basel Miami Beach

アートを求めて旅をする者にとっては、どこか暖かい場所での開催を期待してしまうところ。2002年1月のボローニャのザ・アート・フィエーラ、マドリッドのアルコ、ニューヨークのザ・アーモリー・ショー、そしてズーリッチ、ミラノ、ブリュッセル、シカゴ、フランクフルトでもアートイベントは開催された。
今回の「ART BASLE」に関しては、ビエンナ−レの他、大規模な国際的なイベントも多く開催。ベルリン、パリ、コローニャ、チュリンを経て、今回のマイアミでの開催に至った。


Art Deco architecture, Miami Beach. Courtesy Art Basel Miami Beach

マイアミは、言わずと知れた温暖な気候の街。ヨーロッパが真冬の時でも、ニューヨークが大雪の状態でも(そのお陰で、多くの人がオープニングパーティーに間に合わなかったが)、ここは気温25℃の世界だ。
マイアミビーチや有名なアート・デコの地域で開催されたこのイベント。街全体が、アート色一色に染まった。コンベンション・センターでは、世界中の150のギャラリーが集結。これらのギャラリーも厳しい審査を通過したものばかりである。


Candice Breitz, 2002, Diorama. Nine-Channel Video installation.
Courtesy Galleria Francesca Kaufmann

ティム・ノーブル&スー・ウェブスターのライトを使用した彫刻。オールドスタイルの居間に、9台のテレビを置くという演出を行ったのはキャンディス・ブレイツ。ボール紙で作られた家を制作したのは、コスタ・ヴェーセ。その他、アメリカ国内と世界各地から集められた50誌の雑誌が集まった。

アート・ギャラリーのセクションでは、スペースを共同で使用しているギャラリーもいくつかあった。例えばイタリアのマッシモ・デ・カルロは、ニューヨークのケイジー・カップランと空間をシェアしており、また、ベルリンから参加したギャラリー3つは、お互いの空間を合体させることによって、ヨーン・ボック、アンドレス・スロミニスキー、ジョルジュ・パルドの大規模な彫刻インスタレーションを充分に見せることに成功した。


Costa Vece, “Adonde vas mi vida?”, 2002. Mixed media, variuos dimensions.
Courtesy Galleria Franco Noero, Torino

コンベンション・センターからそれ程遠くないビーチは、アート・ボジションと呼ばれていた区域。休暇中のキャンプ場のような状態のこのアート・ボジション。20台のコンテナがギャラリースペースとして使用され、そこでは未来のコンテンポラリー・アートを垣間見ることができた。
ここでは、ロスアンジェルスのチャイナ・アート・オブジェクト、ロンドンのFA、クリス・ジョンソンと活動を展開しているサンフランシスコのジャック・ハンレイ、ベニスのアンソニー・ゴイコリー、サンドロニ・レイ、そしてニューヨークのレアなどの作品が展示されていた。

もちろん、エレクトロニックな雰囲気の中、夕暮れをバックに音楽とお酒を楽しむこともできた。エアコンが壊れ、初日にはしゃっくりが止まらなかった、という出来事もあった。

明るいピンクの看板が街の至るところにあり、マイアミの街全体がまるで、休日の大きなパーティーのようなかんじ。アート・ヴァイド・ラウンジでは、ビデオアートとビデオコレクションを紹介するプログラムが組まれたり、彫刻やインスタレーションが、アート・プロジェクトという名の下、街中に散らばっていた。アート・ラブズ・デザインというプログラムでは、音楽、パフォーマンス、フード、そして15以上の展覧会がマイアミ・デザイン・ディストリクト内にあるストリート、ギャラリー、ショールームで開催された。
午前中は、それらの会場は一般にも公開され、ルベル家やマーギュリーズ家のコレクションを子供達が目にする機会にも恵まれたが、夜にはパーティー三昧といった雰囲気に一変した。

手ごろな値段で買い物がしたいな、と思う人にお勧めのイベントも2つ用意されていた。12の非営利団体と、小規模ギャラリーが多く参加していたのは、アートポイントというイベント。アメリカやマイアミを題材にした商品が並べられていた。

確実に成長を続け、社会的にも、コレクターに対しても成功を納めているのは、このイベントのエンターテイメント的なアイディアがあるからこそ。ある30代の男性の展覧会が行われたのは、ザ・タウンハウス・ホテルという、イベント会場から程近い小さなホテルの一室。そこでは、作品がベッドの上、お風呂場、たんすの中に展示され、その日のイベントがすべて終了すると、そのギャラリースペースは普段の一室の姿に戻るのだ。


Tim Noble & Sue Webster, “Real Life is Rubbish”, 2002. Courtesy Modern Art Museum

この手のアートイベントに何度が行ったことがある人ならば、今回のマイアミでの開催には、ある種のトレンドがあることに気付いたことだろう。写真よりもペインティングや彫刻が多く目につく。地元のオーナーが、地元のテイストを受け入れようという流れだろう。

ラテンのエネルギー、さまざまな色使いが施されている作品は、大体において規模が大きなものが多かった。ここはニューヨークではない。マイアミだからこそ、このような大きな作品の展示もまったく問題がないのだ。そしてマイアミはラテン系の街。だからであろう。キューバ料理のレストランで英語を話すと、何だかちょっと違和感を感じた。

3万人の来場者を数えた今回のイベント。世界中のコレクター達の作品が紹介され、南アフリカのカップルが注目を集める中、大成功の内にその幕を閉じた。また、それ程名が知れ渡っていないアーティストの紹介にも繋がり、ギャラリーのオーナーにとっても、満足がいくものだったのではないだろうか。

スイスで行われたものとはまた違った空気感があった今回のマイアミでの開催。コンベンション・センターのビップ・エリアでは、トロピカルオイルを使ったマッサージを受けることもできた。またヘルプが必要な時は「ARTNEXUSマガジン」による15ドルの半日ツアーもあり、これは英語とスペイン語で行われていた。

Art Basel/Miami Beach
会期:2002年12月5日〜8日
会場:Miami, Florida
miamibeach@artbasel.com
www.artbasel.com/miami_beach/

Text and Photos: Ilaria Ventriglia from Domusweb
Translation: Sachiko Kurashina

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
MoMA STORE